• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

大学職員の内発性に基づく役割モデルの再構築に向けた国際比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02665
研究機関大阪公立大学

研究代表者

深野 政之  大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 准教授 (40552758)

研究分担者 光本 滋  北海道大学, 教育学研究院, 教授 (10333585)
飯野 勝則  佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (10449522)
林 透  金沢大学, 教学マネジメントセンター, 教授 (20582951)
菊池 芳明  横浜市立大学, 教育推進課, 学務准教授 (60347193)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード大学職員 / 職業能力開発 / メンバーシップ型 / 内発性 / 役割モデル / 比較研究
研究実績の概要

第1期科研〈2018-2020年度〉による検討では,メンバーシップ型としての日本の大学職員の特徴として①強い共同体性,②専門性への忌避(総合職志向),③強い独立性を持つ“事務局”への一元化,の3点を抽出した. 第2期科研〈2021-2023年度〉による調査活動では,韓国・台湾の大学職員ともにメンバーシップ型を基本的モデルとしながらも,それぞれの法制度と歴史的枠組みの中で日本の大学職員とは異なった特徴を持つことが明らかとなった.
これまでの現地調査及び情報収集を踏まえ,現段階で得られている知見は以下の通りである.
■韓国では一括的な採用形態と定期的な人事異動が存在し,特定の専門性に基づいて採用された職員であっても人事異動の対象となることが複数の大学で確認された.また韓国では,1990年代までは組織や階層性において日本の事務組織との共通性が存在していたが,近年の改革により大きく変容しており,特に組織のフラット化は意思決定等の迅速化に寄与しているとの認識が,調査対象とした複数の私立大学で示された.
■台湾においても採用,人事異動に関してメンバーシップ型との類似性が認められたが,一括採用と定期人事異動を行う大学がある一方で,特定部門での採用と本人希望による異動を組み合わせる大学も存在しているなどジョブ型に類する特徴も確認された.
■韓国・台湾とも,職員は学内において“事務局”のような形で一元的に組織化されてはおらず,教員組織(学部等)と同様に学長のもとにある個別部署に所属している.
日・韓・台の大学には採用や昇進などの点ではメンバーシップ型に類する同質性が見られるものの,それ以外の様々な相違に加え,近年の改革に伴う変容も進んでいる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年には2度にわたる台湾での訪問調査,2019年には韓国と台湾で訪問調査を行い,韓国においては大学行政管理学会との共同企画により国際研究集会を開催した.2023年8月には韓国・釜山の3大学で訪問調査を行った.
また学会誌への調査報告採録(2回),学会・研究会報告(5回)など,当初の研究計画を超える調査活動と研究成果発信を行った.理論研究においても,コロナ禍により海外訪問調査ができなかった時期に重点的に文献調査と,韓国・台湾の法制度に係る情報収集を進め,日本及び欧米諸国との比較検討を進めることができた.
コロナ禍により実施できなかった海外調査を2023年夏から再開し、韓国・台湾の大学教職員、研究者との情報交換と対話を継続している。
さらに大学教育学会、大学評価学会、大学行政管理学会での研究報告と個人研究発表により、国内の研究チーム等との研究交流を活発に行っている。

今後の研究の推進方策

コロナ禍により実施できなかった海外調査を2023年夏から再開し、韓国・台湾の大学教職員、研究者との情報交換と対話を継続している。引き続き韓国・台湾との比較研究を進めるとともに、日本の大学職員の役割モデルの再構築に向けた提言を具体化させることに注力する。
人事異動、職務記述書、人事評価、非常勤職員等のそれぞれの課題に関して、日本の大学職員が大学の存立目的を達成するために必要な機能を果たしているかという視点から、欧米型とは異なる内発性に基づいた新たな大学職員像を提言する。能力向上に基づく職員の内発的な役割拡大のためには,現状を踏まえた新たな制度設計と意識改革が必要とされる.日本の民間企業等に見られるメンバーシップ型モデルと同様に,メンバーシップ型雇用労働システムをもつ韓国・台湾の大学職員との比較により,組織内に蓄積された暗黙知の継承・発展をも可能とする新たな役割モデルを提示することを目指す.
日本高等教育学会、大学教育学会、大学評価学会に加え、大学行政管理学会における諸活動と連携し、実現性かつ有効な解決策を提言する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により2年以上にわたり海外渡航が制限されていたため、韓国・台湾への現地訪問調査ができなかった。2023年度には韓国・釜山への訪問調査を行ったが、予定した台湾への訪問調査ができなかったため。2
2024年夏には台湾の複数の私立大学において訪問調査(3回目)を行い、日本の大学職員に対する「内発性に基づく新たな役割モデル」の提言へつなげていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Examining the Key Components of Faculty Development to Advance Japanese Higher Education: A Qualitative Study.2023

    • 著者名/発表者名
      S.Ozeki, T.Hayashi, M.Fukano, S.Yamazaki, A.L.Beach, M.D.Sorcinelli
    • 雑誌名

      International Journal of Institutional Research and Management

      巻: 7(1) ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 大学職員の内発性に基づく役割モデルの再構築に向けた国際比較研究2023

    • 著者名/発表者名
      深野政之
    • 学会等名
      大学評価学会
  • [学会発表] 学生に「大学」を教える 授業実践報告2023

    • 著者名/発表者名
      深野政之
    • 学会等名
      大学教育学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi