研究課題/領域番号 |
21K02667
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
川面 きよ 成城大学, 付置研究所, 研究員 (20782064)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ラーニングコモンズ / 学習環境デザイン / 学習空間 / 学習支援 / 人材育成 / コロナ禍 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究では,日本の学習環境デザインにおける人的サービスの現状分析とアジア諸国における学習環境デザインと人的支援サービスの実態との比較により,今後の日本におけるLCを中心とした学習環境デザインや学習支援サービスへの有用な知見の獲得を目指している. 2022年度は2021年度に引き続き、「日本のLC担当者への半構造化インタビュー調査(国内)」に取り組んだ。設置形態、規模および地域性に配慮し、計8大学を訪ね、施設見学及び担当者へのインタビューを実施した。次年度も引き続き、まだ未訪となっている地域で特徴的な学習環境及び学習支援サービスを実施している大学への訪問調査を行い、その結果を用いた質的分析に取り組む予定である。 並行して台湾、韓国の大学に予定における学習環境と学習支援サービスの現在の動向について、悉皆調査を行うのための予備調査として、台湾・韓国、それぞれの国の4年制大学の一覧を作成し、学習支援の実施主体や実施内容、大学組織の中での位置づけなどの情報を各大学のウェブサイトを通じて収集、整理を行った。その結果、台湾では、対象となったすべての大学に教授・学習支援を業務とするセンターが設置され、多くは教務部直下に配置されており、独立した組織として位置づけられているケースは少ないことが明らかになった。また韓国では、学長や教育担当副学長直下に置かれる教育革新本部内の組織として、教授・学習支援部門が設置されているケースが最も多くみられ、本部体制を敷くほとんどの大学において教育成果管理(学生調査・教学IR)、遠隔(オンライン)教育支援を担当するセンターも併設されているケースが多くみられることが確認され、サービス内容では台湾や日本より、より直接的な学習支援サービスを展開しており、いわゆる初年次科目のような「学ぶことを学ぶため」の科目の開発などを業務内容としているケースも多いことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、1.日本のLC担当者への半構造化インタビュー調査(国内)、2.台湾・韓国を中心としたアジア諸国における学習環境デザインと学習支援サービスの実態把握、3.日本とアジア諸国における学習環境デザインと人的支援サービスの実態に関する比較検討の3つの調査を実施し、その結果を比較検討・分析することにより、今後の日本におけるLCを中心とした学習環境デザインや学習支援サービスへの有用な知見の獲得を目指している。 1.では、前年度に選定を行った国内の大学への訪問およびインタビュー調査を順次実施した。次年度前半も引き続き、残る訪問調査対象校に訪問し、調査を行う。結果の分析については次年度後期に実施予定である。 2.台湾・韓国を中心とした学習環境デザインと人的サービスの実態把握については、質問紙調査のための予備作業として、各国の大学の一覧を作成し、各大学における学習支援の実施主体および実施内容、組織での位置づけなどの情報を各大学のウェブサイトを通じて収集し、その内容について精査・分析を行った。この予備調査の結果は大学教育研究フォーラムにおいて「台湾・韓国の大学における学習環境デザインおよび学習支援サービスの担い手は誰か―日・台・韓 国際比較調査のための予備調査の結果から―コロナ禍以前の学習支援環境に関する調査について」というタイトルで報告を行った。2023年度は、これらの結果をもとに台湾・韓国の4年制の全大学に対してWEBアンケート(質問紙調査)を実施し、結果の分析に取り組み、3.の日本とアジア諸国における学習環境デザインや学習支援サービスの実態比較のための基礎資料とする。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度もコロナ禍の影響を受けて、国内、海外いずれも訪問調査の実施が難しく、実査の実施が遅れている。2023年度5月からの感染予防対策の緩和により、環境が整ってきたため、6月~9月にかけて国内の大学のLC担当者へのインタビューを完了するように努める。 また台湾・韓国の大学に対する学習環境および学習支援に関する質問紙調査(WEB調査)についても回答率向上を狙って予備調査を丁寧に行ったため、実施時期を2023年度前半に変更した。このアンケート結果をもとに秋から冬にかけて台湾・韓国への訪問調査(それぞれ5大学程度を予定)を実施する。 訪問調査の実施が2023年度にずれこんだことにより、研究期間について、1年間の延長を行い、しっかりと分析の時間を確保する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により予定していた対面でのインタビュー調査や台湾、韓国への訪問調査を延期せざるを得なかったため次年度使用額へと繰り越しを行った。なお、いずれの訪問調査も2023年度中に完了予定である。
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