研究課題/領域番号 |
21K02671
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
河井 亨 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20706626)
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研究分担者 |
溝口 侑 桐蔭横浜大学, 教育研究開発機構, 講師 (40909165)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大学生の成長理論 / リーダーシップ / セルフ・オーサーシップ / 成長ラダー / ワークショップ |
研究実績の概要 |
本研究課題では、大学生の学びと成長について、大学生の成長はいかにして可能かという問いに理論研究と実践研究を組み合わせて取り組む。 理論研究では、対象・他者・自己の3次元の関係を包括する理論的視座を構築する。今年度の理論研究では、当初予定していた他者との関係での成長であるリーダーシップの成長についての理論研究を進めた。さらに、自己との関係での成長であるセルフ・オーサーシップの成長についての理論研究を進めることができた。リーダーシップの成長とセルフ・オーサーシップの成長に関する理論研究やモデル、キー概念、実証研究や実践の展開を広く跡づけ、それぞれの成長についての研究の広がりを把握する整理作業を行なった。さらにそれぞれの成長の位置づけ、成長経路、相互の影響関係について精緻化し、対他関係と対自関係の相互的な形成が知識との関係での成長の基盤として作用するという成長のあり方が剔出された。 実践研究では、本研究課題で開発する成長ワークショップの基盤となる成長ラダーについてのワークショップの実際と結果を実践レポートとしてまとめた。多様な課外活動に取り組む学生の成長が交流することの意義と、その交流自体が更なる成長の可能性を開くことが見出された。社会起業に取り組む学生の成長を評価する活動を通じ、結果のための手段とするのではなく、結果と手段の相互形成的な関係としての評価活動のあり方を示す実践に取り組んだ。また、調査研究としては、体育会学生を対象とし、課外活動における自己調整学習と正課の学業における自己調整学習が関連していることを学生主導型の調査研究(undergraduate research)として展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では、R4年度に対自関係の成長であるセルフ・オーサーシップの成長理論を体系的に検討する予定であった。理論研究の課題の1つを1年前倒しで進めることができている。対象・他者・自己の関係について、一通り成長理論を跡づける作業をしてきたことから、それらを土台に実践やその中での学生の学びと成長を解釈する作業に進むことができる。 実践研究においても、成長ワークショップにおける成長ラダーが開発された。今後も、絶えず洗練していく必要があるものの、実践を展開する準備状況は計画よりも、前倒しで進められている。 以上により、本研究課題は、当初の計画以上に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
理論研究においては、対他関係と対自関係の精緻化を進めることができた。対他関係と対自関係のダイナミクスが知識との関係での成長の基盤となることを見出した一方で、知識との関係での成長が対他関係・対自関係に影響を及ぼす逆の経路についての理論的課題が浮き上がってきた。R4年度においては、理論研究として、知識との関係での成長の成長理論、モデル、キー概念、実証研究や実践の展開を広く跡づける作業に取り組む。 実践研究として、R4年度にポートランド州立大学での在外研究の機会を得たことから、ASHE・NASPA・IARSLCEを中心とする北米の研究ネットワークとの交流を発展させる。また、実践研究として、ポートランド州立大学で進められているコミュニティ・ベースド・ラーニングにおける学生の学びと成長を成長理論の視座と結びつけて実践の意味を探究する作業に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に在外研究の機会を得たため、2021年度末から6月までに予算使用の可能性を見込んで、前倒し請求を行ったため。
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