研究課題/領域番号 |
21K02703
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 宏明 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50334024)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 吃音 / 幼児・児童・生徒 / 指導・支援法 / サポートブック / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
「吃音のある幼児から高校生のためのサポートブック」(吃音SB)試案と、保護者や子ども自身が吃音SBを記入する際の記入支援ツールである、吃音のある子どもによくみられる困難が列挙されている「吃音の困難チェックリスト」(困難CL)試案と、家庭や学校などでよく行われている配慮・支援の例が登録されている「吃音のある子どもへの配慮・支援データベース」(配慮・支援DB)試案を作成した。 吃音SB試案の作成にあたっては、吃音のある人やその保護者の手記や体験談、吃音のある幼児から高校生までの指導・支援(在籍学級などでの環境調整や他の幼児児童生徒への啓発、合理的配慮を含む)に関する研究論文や書籍、発達障害のある子ども向けに作成されたサポートブックなどを参考に、(1)お子さんに吃音がみられたら、(2)幼稚園・保育園・子ども園での対応、(2)小学校での対応、(3)中学・高等学校での対応、(4)就職・進学に向けて、の4部構成とし、それぞれの部ごとに(a)お子さんの吃音の状況について、(b)家庭での対応について、(c)園や学校での対応について、(4)個別支援について、の項目を設けた。 困難CL試案の作成にあたっては、上記(1)から(4)について、保護者版、子ども版(ただし、(1)は保護者版のみ)を作成した。 配慮・支援DB試案の作成にあたっては、上記(1)から(4)について、(a)から(d)の各項目の配慮・支援の項目、内容、具体例を列挙した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、令和3年度に実施する計画だった吃音のある子どもの困難やサポートニーズの実態調査(実態調査)が、新型コロナ感染症の影響から実施することができなかった。そのため、本年度は、吃音SB試案の作成を先行して行い、実態調査を令和4年度実施とすることとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、子どもの困難やサポートニーズの実態調査(実態調査)を実施するとともに、実態調査の結果を踏まえ、令和3年度に作成したSB試案の改訂を行う。そして、(a)吃音SB試案の内容や有効性についての質問紙調査、(b)教育相談などでの吃音SB 試案の試用を通して、吃音SB試案の内容や有用性、課題の検証を行う。(a)では、吃音のある子どもとその保護者及び、吃音のある子どもの指導・支援に従事している通級指導担当教員、言語聴覚士、学級担任教員を対象に質問紙調査を行う。(b)では、筆者が行なっている教育相談に通う吃音のある子ども、研究協力が得られた通級指導や言語療法を受けている子どもに、吃音SB試案を用いた指導・支援を行い、その効果を(1)吃音の言語症状、心理症状の変化、(2)吃音の困難の変化、(3)自身の吃音への内省の深化、 (4)自身の吃音の緩和・軽減に主体的に取り組む姿勢、(5)保護者の我が子の吃音の捉え方や、育児上の不安や困難の軽減・緩和の状況などの観点から検証する。そして、上記(a)、(b)を踏まえ、吃音SB完成版の作成及び、吃音SB完成版を活用した指導・支援法の提唱をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初実施予定だった吃音のある子どもの困難やサポートニーズの実態調査(実態調査)が、新型コロナ感染症の影響から実施することができず、そのために計上していた経費が使用できなかった。そこで、本年度実施できなかった実態調査を令和4年度に実施し、本年度使用予定だった経費を充当する。
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