研究課題/領域番号 |
21K02707
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
惠羅 修吉 香川大学, 教育学部, 教授 (70251866)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 数概念 / 知的障害 / 学習困難 |
研究実績の概要 |
数理解や数量を取り扱うスキルの獲得は,生活の質の向上させるうえで重要な学習課題である。しかしながら,知的障害のある子どもたちの数量概念の獲得状況を客観的に把握するためのアセスメントを開発する研究はほとんどない。本研究では,知的障害特別支援学校に在籍する児童生徒を対象とした数量概念の獲得状況を把握するアセスメントを開発することを目的とした。数詞・数字の獲得に依拠しない量理解を評価する検査として線等分課題を,数詞・数字の獲得に依拠する課題として線描画課題と数直線課題を採用する。線描画課題は数を量に変換する操作を,数直線課題は量を数に変換する操作を要する点に差異がある。定型発達成人と知的障害児を対象として課題遂行成績と使用方略(眼球運動より分析)について検討し,アセスメントが反映する認知能力とアセスメントの有用性について検証する。 本研究では,研究1として,知的障害のない成人を対象としてアセスメント課題の遂行成績と使用方略について分析するとともに,課題間の関連性を検証する計画である。この研究では,遂行成績に加えて眼球運動を測定する装置を活用して課題遂行中の眼球運動をモニターし,視線動向から課題遂行の方略について分析する。2022年度は,眼球運動測定装置のセッティングと作動確認を行い,予備的実験を実施して本実験に向けた手続きを検証した。 研究2として,知的障害のある児童生徒を対象として,線等分課題,線描画課題,数直線課題それぞれの遂行成績の個人差について検討するとともに,課題間の関連性を分析する計画である。2022年度は,当初予定の3課題を補足する課題について検討する予備的調査を行った。平行,垂直,角度の比較,交点の予測に関するアセスメントを作成,知的障害特別支援学校に在籍する生徒を対象に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に引き続き,新型コロナウイルス感染拡大のため,本研究に関わる検査を実施することが困難な時期があった。研究が断片的になってしまった。本研究では,軽微とはいえ検査のために身体的な接触を要する手続きがあったため,眼球運動を測定する研究を進めることが特に難しくなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,これまでコロナ禍の影響を受けて延期した研究1を中心に,感染防止に最大限の配慮をしながら研究を実施する計画である。研究内容については,基本的に変更はない。研究1では,知的障害のない成人を対象として線等分課題,線描画課題,数直線課題それぞれの遂行成績と使用方略について分析するとともに,課題間の関連性について検証する。検査は個別に実施し,その遂行成績(行動指標)を取得するとともに,眼球運動測定装置を活用して課題遂行中の眼球運動をモニターし,視線動向から課題遂行の方略について分析する。研究2では,知的障害のある児童生徒を対象として,線等分課題,線描画課題,数直線課題それぞれの遂行成績の個人差について検討するとともに,課題間の関連性を分析する。検査は小集団で実施する。線等分課題,線描画課題,数直線課題を実施し,その遂行成績を取得する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により学会がオンライン開催となり、当初予定していた旅費の使用に至らなかったことが主たる要因で次年度使用額が発生した。 次年度使用額については、研究に必要な消耗品に当てる計画である。
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