研究実績の概要 |
本研究は、次世代の教員養成への貢献を目的に、特別支援学校においてICT活用を積極的に先導する教員を主な対象に、授業参観と面接調査を基に、特別支援教育におけるICT活用に求められる教員のコンピテンシー(資質・能力)の解明と表出化を目指す。 初年度はコンピテンシーに関する先行研究を広範囲にわたって精査した。本研究課題に直結する先行研究が皆無であるため、教員のコンピテンシーやビジネス界におけるコンピテンシーに関する先行研究が精査の対象となった。精査の結果、コンピテンシーの区分、抽出法、評価法、そしてコンピテンシーに多く含まれる特性等が明らかになった。コンピテンシーには基準コンピテンシーと差異化コンピテンシーの2つの区分があり(Boyatzis, 1982)、職務コンピテンス評価法、簡略式職務コンピテンス評価法、仮説モデル確認法、一般モデルカスタマイズ法、変化対応型コンピテンシーモデル法の5つの評価法があり(Dubois, 1993)、コンピテンシーの評価は具体的な行動指標を設定した上で面接による過去の経験採取から行動特性に基づいて行なう(Wood, 1998)。コンピテンシーに含まれる特性は、比重の高い順に行動、態度、知識、技術スキルである(本寺, 2000)。 これら先行研究からの示唆に基づいて、初年度はICT先導教員の授業参観と、その教員と同僚教員への面接調査を予備調査として3件程度計画していた。対象校の新型コロナウイルス(COVID-19)感染防止対策を尊重し、オンラインでの調査も想定していたものの、いずれの参観・調査も実施には至らなかった。
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