研究課題/領域番号 |
21K02720
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
橋本 創一 東京学芸大学, 特別支援教育・教育臨床サポートセンター, 教授 (10292997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 育てにくさ / 知的・発達障害 / 保護者 / ペアレントトレーニング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,第一に児童期になった知的障害・発達障害のある子どもをもつ保護者の“育てにくさ”について,その現況や概念を明らかにすることである。また,特別支援学校・学級における効果的な教育支援の実施のために大変重要な位置を占めている保護者の心理面のサポートについて,その対応や具体的なペアトレ等,子育てのプラットホームを担う学校実践のあり方を検討することである。具体的には,特別支援学校・学級の知的障害・発達障害のある児童生徒とその保護者を対象とし,“育てにくさ”[子育てにかかわる者が感じる育児上の困難感(厚生労働省,2015)]について全国調査(知的障害特別支援学校596全数,小中学校特別支援学級1,000抽出)を実施し,その概念について「健やか親子21(第2次)(厚労省,2015)」にある4つの要因から分析・整理し,その上で類型化[A.支援ニーズタイプ]を行い,支援ニーズタイプ別の“育てにくさ”対応マニュアル[B.冊子化し全国配布&ホームページ公開]とペアレントトレーニング(保護者会活用型)プログラム[C.3モデル校の施行]を作成する予定である。 本年度は,①質問紙調査と②インタビュー聴取(実践視察含む),③プログラムの作成を行った。具体的には,①調査対象を,全国の596知的障害特別支援学校の小中学部(全数)/全国の1,000小中学校の知的障害特別支援学級(抽出)の教師・保護者とし質問紙を郵送し回答を得た.②インタビュー聴取では,福岡,東京の特別支援学校等へ視察を行い,その他はWeb上(ZOOM)でインタビューを行った。その後,③健やか親子21による「育てにくさ」チェックリスト(乳幼児版)を参考に小中学生事例の問題メカニズム類型の検討/優れた実践の抽出と課題の検討により学校・学級で活用可能なプログラムの作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通りである。計画したスケジュールに沿って研究を継続する見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では,知的・発達障害児の“育てにくさ”対応マニュアル&ペアトレの適用を考えている。具体的には,③“育てにくさ”対応マニュアルの作成・開発:<Ⅰ部>問題把握チェックリスト(子ども/親/親子関係/環境の4要因から),<Ⅱ部>保護者カウンセリング(相談の態度/スキル/傾聴項目),<Ⅲ部>助言事例リスト(“育てにくさ”の類型ごとの事例と助言・対応策)の冊子を作成し,調査協力教師に配布し妥当性・有用性等の調査を実施した上で修正する。④ペアレントトレーニング(保護者会活用型ペアトレ)プログラムの開発:各学部学年や障害程度・特性に応じた共通・標準的な保護者の“育てにくさ”からミニマムエッセンスを抽出し,保護者会などで実践できる簡易的なペアトレ(ミニ講義→ビデオ視聴→ロールプレイング→振り返り→共有)を作成し,研究連携校にモデル適用し効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度,新型コロナウイルスの影響で,当初予定していた学会発表等が実施できなかったため,その旅費費用のための経費が一部残された。 (使用計画)次年度,”育てにくさ”対応マニュアル作成等のための謝金として使用する予定である。
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