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2021 年度 実施状況報告書

手話を第二言語として習得するろう学校高等部生徒のための手話学習プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K02721
研究機関金沢大学

研究代表者

武居 渡  金沢大学, 学校教育系, 教授 (70322112)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードろう学校高等部 / 教材 / 手話獲得 / 手話学習プログラム / 手話評価
研究実績の概要

本研究は、今後日本手話の使用者になると考えられるろう学校高等部生徒に対して、第二言語として日本手話を学習するプログラムを作成することを目的としている。
2021年度は、ろう学校高等部に在籍する生徒の手話力を把握するために、1)日本手話文法理解テスト、2)手話版語彙流暢性課題、3)手話談話課題の3つを、高等部在籍生徒に対して実施する予定であった。しかし、コロナ感染拡大のため、研究実施者が研究目的で学校を訪問し、データを取ることが難しかったため、手話力の実態把握に使用する評価法について、検討を行った。研究代表者が作成した「本手話文法理解テスト」、「手話版語彙流暢性課題」についてはすでに完成したものがあるのでそのまま使用することとした。「手話談話課題」については、手話による1分程度の談話を被験者に見てもらい、内容にかかわる問いに答えてもらう談話理解テストと、その談話を自分の手話で再度説明してもらう談話表出課題を作成し、2022年度以降に実施することとした。また、談話表出課題を分析する際、①必要な内容が被験者の談話に含まれているかどうか、②談話に含まれている手話文法要素、の2点について分析を行うこととした。このような分析が可能であるかどうかを検討するために、2021年度、手話を日常的に使用している成人ろう者1名と手話を学習中の聴者2名に、同課題を実施し、そこで得られた問題点や課題を整理したうえで、手話談話課題の手話刺激文の修正や、内容を確認する問いの修正、手談話表出課題の分析の観点の修正などを行って、ろう学校高等部生徒の手話力把握のためのテストをおおよそ完成させた。 あわせて、2022年度以降本研究への協力依頼をろう学校に対して行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度はコロナ感染拡大のため、実際にろう学校に訪問し、高等部生徒に対して手話評価課題を行うことができなかった。そのため進捗状況としてはやや遅れていると判断せざるを得ない。しかし、2021年度にろう学校高等部生徒の手話力の実態把握を行うための評価方法について細かく検討することができ、より正確な評価を可能にするよう、評価に用いるテストの修正を行うことができた。特に手話談話課題について、これまでわが国には存在しなかったテストを作ることができ、成人ろう者や手話学習者に対して実施し、手話談話の理解的側面と表出的側面を評価するテストとして一定妥当であることを明らかにすることができた。コロナ感染の状況や学校現場がどの程度研究に教職していただけるかにもよるが、2022年度はすぐにでもろう学校を訪問し、データを収集できる体制ができている。

今後の研究の推進方策

当初2021年度に行う予定であったろう学校高等部生徒の手話力の実態について、1)手話文法理解テスト、2)手話語彙流暢性課題、3)手話談話課題、をろう学校高等部生徒に実施する予定である。都心部にあり在籍数が多いろう学校だけでなく、在籍数が少なく、手話集団が確保しにくい地方のろう学校高等部にも協力を依頼し、高等部生徒の手話力の実態を把握する予定である。幼児期から手話を使用し手話に熟達した生徒と通常学校からろう学校にインテグレートした生徒の間でかなりの手話力の差があることが予想される。そのような実態を裏打ちするデータを2022年度は収集する。
そのうえで、手話を一定程度使用できる生徒も手話をほとんどできない生徒も同じ教材を使って学ぶことができる手話学習プログラム開発の立案に着手する。2022年度は、内外の第二言語として手話を指導するプログラムを比較検討し、ろう学校高等部で実施可能な手話学習プログラムの立案に着手する。その際、手話がほとんどできない生徒は手話そのものを学ぶことが目標となり、一定程度手話ができる生徒にとっては、自分たちが使っている手話の文法や構造などメタ言語的な知識を得ることを目的とした学習プログラムにしていくことを目指す。そのため、文法を柱にした手話学習プログラムとなることが予想される。実際に手話通訳養成や初習言語として手話を大学等で使用した実績のあるろう者とも意見交換する機会を2回ほど設け、具体的な手話学習プログラムについて様々な意見をもらう予定である。あわせて、ろう学校高等部の教員に対して、手話学習プログラムをろう学校高等部の教育課程の中でどのように使用可能なのかについてもヒアリングを行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

2021年度はコロナ感染拡大のため、ろう学校を訪問し、データを取ることができなかったため、旅費を使用することがなかった。2022年度はろう学校を訪問し、データを収集する予定であるため、繰り越した額は旅費として使用する予定である。
また、データ収集の際に必要なビデオカメラや手話刺激を表示するPCなど必要機材についても2022年度にまとめて購入し、研究を遂行する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 日本手話版語彙流暢性検査の開発(4)-手話語彙流暢性検査の課題間の正答数の比較と実用性から-2021

    • 著者名/発表者名
      武居 渡
    • 学会等名
      日本特殊教育学会
  • [学会発表] Sign Fluency Test of Japanese Sign Language2021

    • 著者名/発表者名
      TAKEI, Wataru
    • 学会等名
      23rd International Congress on the Education of the Deaf
    • 国際学会
  • [学会発表] CODAの子どもたちの言語獲得2021

    • 著者名/発表者名
      武居 渡
    • 学会等名
      第1言語としてのバイリンガリズム研究会 ( 第 22 回研究会)

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公開日: 2022-12-28  

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