研究課題/領域番号 |
21K02732
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
塩見 将志 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (60711215)
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研究分担者 |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (00296188)
水本 豪 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (20531635)
飯村 大智 筑波大学, リハビリテーション学部, 助教 (40881842)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 吃音 / 幼児期 / 学童期 / 社交不安 |
研究実績の概要 |
本邦の成人吃音者では50%が社交不安症に相当する状態であることが示されているが、幼児期~学童期の社交不安についての知見は乏しく、現状では吃音児がいつ社交不安の問題を呈するのかは不明である。そこで本研究では、幼児期~学童期の吃音児が社交不安の問題を合併する時期を明確にし、吃音に合併する社交不安への早期介入時期の指標を作成することを目的としてデータの収集を行っている。 調査対象は非吃音児とその養育者および吃音児とその養育者であり、非吃音児と吃音児には、社交不安の状態を客観的に評価するため、自由会話時にSPN-02Sを用いて皮膚電位活動を記録する。SPN-02Sは、非侵襲の皮膚電位計であり、精神的な動揺・緊張などのストレス負荷、リラックス状態か否かなど、精神状態の客観的評価を簡便に行うことが可能である。また養育者には、幼児期から思春期に至る子どもの情緒や行動を包括的に評価する質問紙であるCBCLを行う。この質問紙により、子どもの社交不安に関連する情動と行動を多面的に評価することが可能である。本研究の対象年齢は3~12歳であるため、3歳児には幼児版(CBCL/2-3)を用いて「不安神経質」の症状群尺度、4~12歳児には年長児版(CBCL/4-18)を用いて「不安/抑うつ」の症状群尺度について特に注目することで、幼児期~学童期における吃音児と非吃音児の各年齢での社交不安症状の出現率および吃音の有無による出現率の差を明らかにする。 2023年度も吃音児のSPN-02Sのデータと吃音児の養育者から得たCBCLのデータは収集可能であったが、非吃音児のSPN-02Sのデータと非吃音児の養育者から得るCBCLのデータの収集は難渋している。 今後、吃音児のSPN-02Sのデータと吃音児の養育者から得たCBCLのデータの分析を行い早期介入時期の指標の作成について検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響もあり、非吃音児と非吃音児の養育者から得るデータが収集出来ていない。吃音児と吃音児の養育者から得るデータについては、収集を進めているが、まだ同意が得られた研究参加者数が少なく観察期間も短いことから「遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
非吃音児と非吃音児の養育者への研究協力依頼を継続して行っていく。 吃音児とその養育者のデータについては今後もデータの収集が可能であることから、吃音の状態、CBCLのデータ、SPN-02Sのデータを分析し、吃音児と吃音児の養育者から得られたデータを用いて吃音児が合併する社交不安への早期介入時期の指標の作成について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を作成した段階では、2023年度は吃音児が合併する社交不安への早期介入のための指標を作成するとともに、国内外の学会・学術誌を通じた積極的な成果の公表や3歳児健診、幼稚園・保育園での健診、小学校での健診、および病院で吃音児とかかわりを持っている様々な専門家との意見交換を積極的に行う予定であった。しかしながら、コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によりデータの収集が遅れ、吃音児が合併する社交不安への早期介入のための指標の作成が未だ行えていない。そのため、成果の公表や専門家との意見交換を行うために必要な費用が未使用となった。今後は、データ収集、成果の公表、専門家との意見交換のために発生する費用として使用する予定である。
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