研究実績の概要 |
研究一年目は、次のように研究を遂行した。①抽象語理解に関する先行研究を調べ、これまで何が明らかになって、何がまだ解明されていないかを確認した。その結果、これまでの先行研究は、抽象名詞に関する研究が多く、また調査対象も小学生段階の研究が多いことを確認した。②抽象語の定義について、先行研究や標準抽象語理解力検査 (宇野彰監修,春原則子, 金子真人,2002)、日本語抽象度辞書「 AWD-J: Abstractness of Word Database for Japanese common words 」、各辞書を調べ、本研究における抽象語の定義を作成した。③「新教育基本語彙」(阪本,1984)に掲載されている小学校低学年、高学年、中学校の段階に理解させるべき単語それぞれ4,300語、5,943語、9,028語について、名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞に分類し、エクセル表に整理した。④<抽象語の発達を検討するための本研究で使用する語彙リストの作成>・「新教育基本語彙」(阪本, 1984)の難易度レベル(学年レベル)と例解学習国語辞典(小学館,2015)の学年レベルが合致するものから抽出。・名詞は「日本語語彙体系」(NTTコミュニケーション科学研究所,1997)の具体語・抽象語の区別に倣い抽出。・名詞以外の品詞は「日本語の語彙特性第8巻単語心象性①」(三省堂,2005)掲載の文字単語心象性と音声単語心象性の数値を調べ、抽象度の高い言葉と低い言葉を整理した。
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