研究課題/領域番号 |
21K02740
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
松浦 慶総 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特別研究教員 (70282960)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 技能教育支援 / 身体技能 / 技能特性要因分析 / 技能情報構造化 / 気づき / 共感 |
研究実績の概要 |
令和3年度は,本研究初年度として本研究の目的である「学習者と教授者との相互の共感を創出する技能教育支援システムの開発」を実現するため,溶接品質に寄与する溶接状態や技能身体動作などの情報を収集・取得し,これらを研究代表者が既に提案している技能特性要因分析手法で構造化した.具体的には,技能情報を技能品質に対する影響度に応じて,直接要因,間接要因,身体要因,体性感覚要因,視覚要因に視覚的に構造化した. 具体的には,溶接品質に直接影響をする溶融池やアーク長,アーク状態を直接要因,直接要因の状態に寄与する溶接棒と母材の距離や角度,運棒速度を間接要因,運棒に影響を及ぼす身体の状態を身体要因とする.これらは主に視覚情報として計測が可能であり,既往研究でも扱っている.しかし,溶接中の手首,上腕,上半身の体性感覚を情報として扱っている研究はほとんどなく,本研究ではこの体性感覚要因と身体要因との関係性を重視している.この技能特性要因分析手法で身体技能情報を知識化することで,教授者や学習者が技能習得で必要な身体技能情報に気づくことが可能となり,相互の情報に対する認知が共通化,すなわち「共感」の創出が可能となる. そこで,次年度以降に学習者と教授者が技能に関して「共感」を促進する手法の開発を行うため,まずものづくり分野における共感が必要なデザイン分野の専門家にインタビューおよび,議論を実施し,ものづくりの共感の定義や経験や取得している知識が違うデザイナーとユーザがどのように共感を創出するか,そのプロセスや情報共有について検討を行った. 令和3年度は国内発表1件を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度の研究予定では,(1)溶接技能を対象とした技能特性要因図による構造化,(2)学習者主体の技能学習計画システムの開発,(3)基本構造化技能情報の入力,および要因間の重要度付与を可能とするシステム開発を計画していた.しかし,依然としてCOVID-19の影響で対面による実験実施が不可能であり,また世界的な半導体不足に伴い必要機材の調達が困難となった.さらに大学のリモート教育への対応などで業務が膨大となり容易に研究を進めることができなかった.したがって,当初予定していた(1)のみの実施となっている.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,令和3年度で未実施の.(1)学習者主体の技能学習計画システムの開発,(2)基本構造化技能情報の入力,および要因間の重要度付与を可能とするシステム開発を実施する. ただし,これまでは対象溶接技能を被覆アーク溶接としていたが,労働安全衛生法施行令、特定化学物質障害予防規則等が改正された影響で,溶接ヒューム対策が大幅に変更になった.そのため実験実施場所である大学内工場では実施が不可能となったため,対象溶接技能を同じ手溶接であるTIG溶接に変更する.そのため,溶接技能情報の新たな取得と,技能情報の構造化も併せて実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度では対面による実験実施が不可能であり,また世界的な半導体不足に伴い必要機材の調達が困難となった.さらに大学のリモート教育への対応などで業務が膨大となり容易に研究を進めることができなかった. 令和4年度は,システム構築および成果発表(旅費,投稿料等)での使用を予定している.
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