研究課題/領域番号 |
21K02744
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
神田 亮 香川大学, 地域人材共創センター, 講師 (30389366)
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研究分担者 |
蟹澤 宏剛 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (00337685)
米谷 雄介 香川大学, 創造工学部, 講師 (00735144)
後藤田 中 香川大学, 創造工学部, 准教授 (40633095)
神田 かなえ 香川大学, 医学部, 助教 (60778629)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育工学 / ビジュアルフィードバック / フィードバック手法 / トレーニング支援 / 技能継承 |
研究実績の概要 |
本研究は,これまで暗黙知とされてきた建築業・建設業の熟練技能者や若手技能者などの技能を習熟度別に体系化し,技能を学ぼうとする学習者の習熟度に合わせた技能をICTによる支援で効率の良い技能継承を可能とする研究である.具体的には熟練技能者や若手技能者などの作業動作を蓄積し,分析し学習者の習熟度に応じた評価や,適切な動作指示がICTによる支援で直感的に効率よく行える技能継承システムを構築するものである. 2021年度の研究計画では,熟練技能者や若手技能者などの動作を撮影しデータを蓄積し,その動画を分析した上で定性的評価を行い,学習者の技能と熟練技能者の差を認識し,技能の継承をICTによる支援が可能となるシステムを構築することが計画されていた.実施状況としては,左官初学者に対して,動画でのフィードバックを行うことで,自分の動きを客観的視点で確認できることによる左官動作の変化を調査した.「骨格推定を用いた左官技能の可視化に基づく技能教育手法の検討」(村主ら2022). 本研究の分析結果では,自分の作業を撮影した動画とお手本の動画を比較して振り返りを行うことで被験者の動きに影響があった可能性が示された.また,骨格推定を用いて,グラフや相関係数を出力することで,動きの変化を可視できるため,学習者の教育を支援できる可能性が示唆された. 一方で,研究2として計画していた,モーションセンサから得た出力に基づき,力を入れるタイミングや,力を抜くタイミングなど動作に合わせて擬音語や図形に変換し動作に重ねわせることでより視覚的に分かりやすいものにする内省強化のための映像視聴ができるシステムの開発と実践を行う研究に関してはコロナ禍の要因により研究開始が当初より繰り下がったため2022年度内に実施する計画である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による要因で,研究協力者に対する環境整備や安全面等を考慮する時間を要したため当初の予定よりやや遅れている状況である.そのため,研究協力者に対する謝金・人件費の支出が減少した.また,共同研究者との打合せや各種学会での発表などがオンライン対応になったため旅費の支出が減少した.しかしながら,研究実績の概要で述べたように2021年度は,本研究では,映像を用いて学習者の振り返りを支援する教育手法を提案し,左官経験のない学生を対象に教育手法の有効性を示すための実験を行った.骨格検知技術を用いた技能分析を行い,対象部位の位置変化をグラフと相関にて検証を行った.本研究で提案した教育手法が従来のOJT教育を支援することで修業期間の短縮化に一助となる可能性が示唆される結果が出るなど一定の成果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,前年度に構築した骨格検知技術を用いた技能分析の実績積み増しに取り組みつつ,仮想空間上でトレーニングができるシステムを構築し,能動的に繰り返しトレーニングできる環境を構築するシステムの試作に取り組む.また,一定の動作を繰り返すことで生じる疲労や,それによる障害についても検討し,障害が起きることのないように疲労を生じやすい部位の特定,セルフケアの方法,トレーニングの方法についても提案できるようにする.なお,得られた成果については前年度と同様に関連学会や国際会議などで成果発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う学会等の開催がオンライン対応となったため旅費の支出が減少した。また、共同研究者との打ち合わせに関してもオンライン会議システムを活用したため旅費の支出が減少した。当初予定していた上級技能者の測定に関しても実施が困難となったため次年度に移行する予定となり人件費・謝金が減少した。
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