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2021 年度 実施状況報告書

数学の探求学習に伴う行動ログデータのマルチモーダルなアナリティクスから学習支援へ

研究課題

研究課題/領域番号 21K02752
研究機関東邦大学

研究代表者

金子 真隆  東邦大学, 薬学部, 教授 (90311000)

研究分担者 北本 卓也  山口大学, 教育学部, 教授 (30241780)
江木 啓訓  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30422504)
野田 健夫  東邦大学, 理学部, 准教授 (90431618)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード動的幾何 / 数学探究学習 / 対話ログデータ / 操作ログデータ / ジェスチャーのログデータ / マルチモーダル・ラーニングアナリティクス
研究実績の概要

本研究の目的は、動的幾何を用いた数理科学の探究的協調学習における学習者の思考の時間的な推移を、操作や対話のログ、発話内容のテキストデータ、ジェスチャーを中心とする体動のログを対照したマルチモーダルなアナリティクスによって解明し、学習支援に生かすことである。本年度は、以上の枠組みにおける教育実験を繰り返す中で、特に手指の動きに関するログを取得する方法の探索と、得られた学習データの分析スキームの確立に重点をおいた。新型コロナウィルス感染拡大によって、2021年度においては対話を伴う協調学習の実験を実施することが困難であったが、主に数理統計のテーマを扱う動的コンテンツを用意し、2人一組で協調学習を行わせる教育実験を複数回実施することができた。分析の枠組みとして、A. Sfardらによるcommognitive perspectiveに着目し、対話テキストデータから推定される思考内容と、操作・体動のログの可視化とを対照して、特に学習者の事前の平常テストや事後の確認テストにおける数理的なパフォーマンスとの連関について探索した。その結果、操作・ジェスチャー・発話といったmodeの間の遷移パターンの観察によって、思考過程の深化を追跡できる可能性が示唆された。また、こうしたパターン遷移が、学習者の事前事後の数理的パフォーマンスと密接に連関しうることも併せて示唆された。さらに、思考が転回した時点付近での手指の動きを精査し、ログとして取得すべき特徴量をいくつか抽出することができた。センサーとしては、intelのRealSenseを用いており、操作や対話のログと同程度の粒度をもった数値データとして体動のログ・特徴量を処理するまでには至っていないが、取得したデータの可視化の状況から判断して、分析上十分なデータは取得できていると判断される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウィルス感染拡大のため、iPadに動的コンテンツを実装した上で、複数の学生に協調学習を行わせる形の実験授業の実施が非常に困難だったため、十分に実施事例を蓄積することができなかった。実施できたのは、感染者数がやや減少した2021年の秋で、この際に複数回実施することができたが、とても十分とは言えない状況である。

今後の研究の推進方策

2022年度に入り、新型コロナウィルスの感染拡大が少し落ち着いていることから、その状況も見ながらできるだけ教育実験を重ね、学習データの取得を進める予定である。また、実験に利用するためのHTMLをベースとした教材作成システムについて、システムの拡張や教材作成事例の蓄積を進め、これらに関する知見についても公表していく予定である。
先行する基盤研究における結果も含め、本研究で得られた知見について、特にCSCLをテーマとした国際会議などでの発表を目指しているが、CSCLやマルチモーダルアナリティクスに関する理論的な裏付けを得ることが急務との指摘をたびたび受けている。対話分析も含め、これまでの学習科学における理論的な枠組みの中で、本研究がどのように位置づけられるかという点に関する検討も鋭意行いたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染拡大により、協調学習を伴う教育実験が十分に実施できず、特にジェスチャーを含む体動のログを取得するための深度センサーつきカメラの仕様について最終的な確定ができなかった。2022年度は、感染状況も見ながら実験事例を蓄積し、仕様の策定と、それに基づく機材の購入を急ぐ予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Monitoring the impact of teacher's intervention in inquiry-based mathematics learning with the use of dynamic geometry2022

    • 著者名/発表者名
      Takeo Noda, Takahiro Nakahara, Masataka Kaneko
    • 雑誌名

      Proc. MathUI2021

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] オンラインでの動的な探究学習における数学ソフトウェア活用について2022

    • 著者名/発表者名
      金子真隆, 北本卓也, 野田健夫
    • 雑誌名

      数式処理

      巻: 28 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自学自習が可能なE-learning教材について2022

    • 著者名/発表者名
      北本卓也
    • 雑誌名

      山口大学教育実践総合センター研究紀要

      巻: 53 ページ: 85-92

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effect of Presenting Co-occurrence Networks that Reflect the Activeness of Face-to-face Discussions2021

    • 著者名/発表者名
      Taisei Muraoka, Naruaki Ishikawa, Shigeto Ozawa and Hironori Egi
    • 雑誌名

      Lecture Notes in Computer Science

      巻: 12784 ページ: 347-360

    • DOI

      10.1007/978-3-030-77889-7_24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Moodle上でのCindyJSを用いた探究学習におけるログデータのアナリティクスから学習支援へ(続)2021

    • 著者名/発表者名
      金子真隆, 中原敬広, 野田健夫
    • 雑誌名

      京都大学数理解析研究所講究録

      巻: 2208 ページ: 107-116

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 深度センサによる机上計測に基づく協調学習への参加意欲推定2022

    • 著者名/発表者名
      舟橋涼,鍋谷航平,野田健夫,金子真隆,江木啓訓
    • 学会等名
      情報処理学会第84回全国大会
  • [学会発表] 動的コンテンツを用いた数理統計の協調学習における学習者の行動パターンからの思考展開の推定2022

    • 著者名/発表者名
      金子真隆, 江木啓訓, 北本卓也, 野田健夫
    • 学会等名
      日本教育工学会2022年春季全国大会
  • [学会発表] 動的コンテンツを用いた数学の探究的協調学習における操作・対話のログを用いた知識構築プロセスの分析2021

    • 著者名/発表者名
      金子真隆, 江木啓訓, 野田健夫
    • 学会等名
      日本教育工学会2021年秋季全国大会
  • [学会発表] 動的コンテンツを用いた数学協調学習での認知負荷の様態に関する操作・対話・行動のログを用いた分析の試み2021

    • 著者名/発表者名
      野田健夫, 江木啓訓, 金子真隆
    • 学会等名
      日本科学教育学会第45回年会
  • [学会発表] テキストをベースとする LMS の開発とMaxima の利用2021

    • 著者名/発表者名
      北本卓也, 濱口直樹, 高遠節夫
    • 学会等名
      京都大学数理解析研究所共同研究「Computer Algebra -- Theory and its Applications」

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公開日: 2022-12-28  

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