本研究は「理学療法学専攻の視覚障害学生に対するフィードバック技術の教育への応用に関する研究」という研究科題名で研究を継続している。視覚に障害のある理学療法学生が理学療法を学習するうえで、視覚障害が原因で様々な困難が生じうる。特に理学療法士が専門とする身体動作、その中でも特に歩行について学ぶ際には、複雑な図を見る必要がある。本研究では該当年度では、歩行時の筋活動に注目し、予備実験を進めてきた。下肢に4つの表面筋電センサを貼付し、そのうちの1つから得られた筋電データを音にリアルタイムで変換し、その音を聞きながら歩くことでより容易にかつ直感的に歩行時の筋活動を学べることが予想される。該当年度では、このシステム開発と呼び実験を行った。わかりやすい音はどのような音化、データ処理の方法などについて、主に時間を要した。音デザインは数名から意見を聞き、シンプルな音デザインとし、筋電データの絶対値を音量にマッピングする予定である。また、データ処理は、筋活動量が筋により異なるため、歩行時の100%がどの筋でも同じ音量になるよう、計算を加えた。また、歩行時の筋活動であるため立位時の筋活動量は無視するようにした。聞きやすくするようデータを滑らかにする必要があったが、あまり滑らかにするとリアルタイムではなくなるため、音の滑らかさとリアルタイムさのバランスを取る形で処理を加えた。今後は本実験に向けて準備を進めていく。
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