本研究の目的は非教育学部における教職課程履修学生の教職課程についてのイメージやイメージの変容の可能性を探索的に検討することである。 本研究の最終年度である2023年度は,前年度作成した教職課程イメージ尺度を用いて非教育学部における教職課程履修学生の教育実習前後での教職課程イメージの変容について検討を行うこととした。そのため,学部4年生を対象にした調査を行い結果の分析を行った。なお,実習後に実習前と後の2時点を振り返って回答を求める形式での調査を行うこととした。また,学生の進路希望に着目することで,実習前後の教職課程イメージの変容に違いがある可能性を検討することを考え,進路希望についての設問を簡易的に設け検討した。分析の結果,複数の因子で実習前後で得点が上昇することが明らかとなり,教員になるかどうかに関わらず全体的に教職課程イメージが肯定的に変容することが示唆された。また,「被教育体験の振り返りの機会」の因子において,中学校または高等学校の教員になる予定でない学生の得点が実習後に高まることも明らかとなり,教員にならない学生の実習前後の教職課程イメージの変容の特徴である可能性が示唆された。本結果は,学会発表を行い,結果の解釈や考察,今後の発展の可能性等について示唆を得たいと考えている。また,最終年度前年度に実施した調査結果について,日本教育心理学会第65回総会にて発表を行った。 3年間を通して,非教育学部における教職課程履修学生の教職課程イメージの一端を明らかにすると共に,教職課程イメージ尺度の作成や教職課程イメージが1年生と4年生で異なる可能性,実習前後で変容する可能性を示唆することができたことは,本研究の成果と考えている。
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