研究課題/領域番号 |
21K02779
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
坂東 宏和 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50369039)
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研究分担者 |
山下 真幸 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80255009)
上西 秀和 獨協医科大学, 医学部, 助教 (50637006)
坂田 信裕 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50362132)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 授業支援 / 授業記録 / 振り返り / リアルタイム / オンライン授業 |
研究実績の概要 |
本研究では、Web会議システムを用いたリアルタイムオンライン授業の「学生が聞き逃した部分等を即座に確認できない」課題と、「オンライン上の学生の理解度を把握しにくい」課題の解決を目的としたシステムの開発と効果検証を行っている。 研究初年度である令和3年度は、「学生が聞き逃した部分等を即座に確認できない」課題の解決を目的とし、授業中、Web会議システムの画面のスクリーンショットと音声認識によりテキスト化した教師の発話を、教師の手を煩わせることなく全自動でリアルタイムに記録・蓄積する機能を開発した。さらに、学生が授業中の必要な時に任意の端末のWebブラウザを用いて閲覧用のWebページを表示するだけで、それらを直前から授業開始時まで溯りながら閲覧できる機能も開発し、学生が聞き逃した教員の説明等を素早く確認できるシステムを実現した。また、実現したシステムを本学附属看護専門学校の情報に関する授業において試用し、アンケート調査を行った結果、本システムの有用性が示唆された。 今後は、「オンライン上の学生の理解度を把握しにくい」課題の解決を目的とした学生の閲覧状況から理解度を推定し教員にフィードバックする機能の開発、システムが学生の学修に与える影響に関する検証、オンライン授業の学修効果を向上させる授業モデルの構築を進める予定である。 本研究で実現するシステムを活用することにより、学生の理解度が向上し、また、教員による学生の理解度把握が容易になると考えられ、リアルタイムオンライン授業をより効果的に実施するための授業モデルを提案できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、研究の目的を達成するための全体的な研究計画の「(1)授業中に直前から授業開始時まで遡って説明等を再確認できる環境の実現」、「(2)学生の理解度を推定しそれを教師にフィードバックできる環境の実現」、「(3)授業での試用と有用性の検証および授業モデル構築」、「(4)試用評価に基づく改善」のうち、(1)と(3)を主に実施する計画であった。(1)については、実際の授業で活用できる段階までシステムの開発が進んでおり、本研究の目的の1つである、リアルタイムオンライン授業の「学生が聞き逃した部分等を即座に確認できない」課題の解決を実現できている。また、(3)についても、本学附属看護専門学校において1年次に開講している「看護実践において必要となる情報リテラシーの習得を目的とした授業」において試用評価を実施し、アンケート調査により、システムの有用性が示唆されている。 さらに、これまでの研究成果について、情報処理学会コンピュータと教育研究会において報告を行っている。 以上のように、当初の計画どおり研究が進んでいることから「概ね順調に進展している」ものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、当初の研究計画どおり研究を進めていく予定である。具体的に「(3)授業での試用と有用性の検証および授業モデル構築」と「(4)試用評価に基づく改善」を繰り返し実施することにより、本研究で実現するシステムの有用性を高めつつ、令和4年度中に「(2)学生の理解度を推定しそれを教師にフィードバックできる環境の実現」を完了させる計画である。 学生の理解度を推定する方法、教師への効果的なフィードバックの方法に関する課題が残っているが、教育システムに関する既存研究のサーベイや、他の研究者との意見交換等を通じて、それらの課題の解決を図りたいと考えている。 なお、現時点では、研究計画の変更は不要であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により主要な学会がオンライン開催となったため、旅費が想定よりも下回ったこと、本システムで利用する音声認識エンジンの使用料について、無料分(月5時間まで無料)を有効活用することにより使用料がかからなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。 次年度以降については、新型コロナウイルス感染症が落ち着き現地開催での学会が増加すると考えられ、今年度できなかった学会等での対面による発表と情報収集を積極的に行うことを予定している。また、授業等でのシステムの試用を繰り返し実施することを予定しており、そのために音声認識エンジンの使用料が増えると見込んでいる。
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