研究課題/領域番号 |
21K02795
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
倉島 庸 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40374350)
|
研究分担者 |
平野 聡 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50322813)
七戸 俊明 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70374353)
渡邊 祐介 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (90789405)
パウデル サシーム 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (80811489)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 外科教育 / 腹腔鏡下手術 / 幽門側胃切除術 / 術中意思決定能力 / ノンテクニカルスキル |
研究実績の概要 |
外科治療の中心となる手術が高難度になるにつれ、執刀医に求められる技能は手先のテクニックではなく、術中判断力・意思決定能力を含めたノンテクニカルスキルとなる。しかし、過去の外科教育分野における研究は、手術手技のみの正確さや自立性に着目した検討が大多数であり、ノンテクニカルスキルに着目し外科医の思考プロセスを研究した報告はわずかである。そこで、本研究では手術中の外科医の意思決定内容、意思決定能力を分析し、実際の手術成績との相関を検討することを目的とした。実際には以下の1)-3)の目的を中心とした研究が進行中である。 1)外科医の術中意思決定能力を分析し、レベルの異なる術者間の能力差比較 2)外科医の術中意思決定能力と手術パフォーマンスおよび手術成績との相関検討 3)外科医の術中意思決定情報を言語ライブラリ化及び手術教育教材開発 令和3年度の研究計画では「術中意思決定情報分析必要項目の設定」であった。具体的には腹腔鏡下手術の手順を分析し、各術式の重要局面において必要とされる意思決定事項を定義することを目的とした。そこで先行研究として腹腔鏡下幽門側胃切除術技能評価スケール:JORS-LDG (Kurashima Y, et al. Surg Endosc 2019)を使用し、様々なレベルの消化器外科医の腹腔鏡下幽門側胃切除術54例の技能評価を行った。その結果、手術技能と術者の経験数及び短期手術成績との相関を認めた。さらに、サブ解析において、手術全体の工程のうち、幽門下リンパ節郭清の領域が最も術者の技能を反映している可能性が示唆された。これらの結果は令和3年に開催された第34回日本内視鏡外科学会で報告された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
記研究実績概要への記載のごとく、研究期間初年度において様々な経験値の外科医による腹腔鏡下幽門側胃切除術54例の技能評価サブ解析において、手術全体の工程のうち、幽門下リンパ節郭清の領域が最も術者の技能を反映している可能性が示唆された。術中意思決定能力を評価する対象の局面にこの幽門下リンパ節郭清を選択できたことは本研究前半において大きな進捗である。
|
今後の研究の推進方策 |
上記の先行研究結果から、令和4年度以降術者の技能を最も反映している可能性のある幽門下リンパ節郭清手技における術中意思決定能力を、様々な経験値の外科医別にデータ収集・解析し、実際にどのような術中意思決定能力の違いが手術の質、手術成績に影響するのかを検討していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度から令和4年度への繰越金額は6,745円であった。この繰越金は当初支払い予定であった、消耗品の納品が一部遅れたために生じたものであり、令和4年度に使用予定であり令和4年度以降の予算については概ね計画通り使用予定である。
|