研究課題/領域番号 |
21K02800
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
湯地 宏樹 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50290531)
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研究分担者 |
湯地 由美 四国大学, 生活科学部, 准教授 (40807426)
佐々木 晃 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10967003)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | VR / バーチャルリアリティ / 保育者 / みえ / アイトラッカー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,熟達保育者の「みえ」を対象化し,保育の目のつけどころや勘どころといった言語化しにくい「実践知」の可視化や言語化を試み,それらを保育者養成校の学生が効果的に学修できるVR映像教材を開発することにある。そのために360度カメラを用いて撮影した映像を基にし,保育学生が熟達保育者の「みえ」を疑似体験することを通して,保育者として必要な「気づき」や「みえ」に変化があるかどうかを検証する。 A幼稚園の夏季休業開け2日目の保育室,登園前の中庭など保育環境を360度カメラで撮影した静止画像(5場面)を用いてA幼稚園の保育者(6名)が「何(what)をみていたか」をアイトラッカーによって可視化し,「どのように(How)みていたか」を言語化し,これらの結果を反映させたVR映像教材を作成する。 保育者養成校の保育学生15名を対象とし,VR映像教材の有効性を明らかにした。3・4年生は,1・2年生よりも停留時間が長く,停留回数も多く,保育者との差がなかった。教育実習を経験した保育学生は,環境の配慮などのポイントを意識しながら,保育者と同じように「みている」可能性が示唆される。保育者と保育学生は,「みている」ことには大きな差はないものの,「みえ」が異なることが,テキストマイニングの分析によって明らかになった。保育者は,子どもを主語として語り,子どもの目線に立ちながら,時間的プロセス,発達的プロセスから環境を捉えていた。教育実習を経験した保育学生は,保育実践をとおして、環境を見る視点を獲得することによって、保育を語ることができるようになることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A幼稚園の先生方やB大学の学生の協力のおかげで、VRによる視線計測や語りの分析、VR映像教材の評価をWebアンケートなど当初の計画どおり実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では「静止画」を用いたため,先行研究と異なる結果になった。実際の保育場面は,目の前の子ども姿や状況などが刻々と変化し,即座に対応することが求められる。今後は動画を用いた調査行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,A大学の学生への調査は行ったが,B大学での調査ができなかったためである。したがって,今年度は保育学生を対象にし,被験者にVRを装着してもらい,保育環境や保育場面を映した動画を見てもらうとともに,インタビュー調査を実施する予定である。そのために人件費・謝金及び先行研究の検討のための文献等の購入を予定している。
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