研究課題/領域番号 |
21K02801
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大西 義浩 愛媛大学, 教育学部, 教授 (00321480)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プログラミング教育 / 個別最適化 / 自学自習 |
研究実績の概要 |
2020年度から小学校のプログラミング教育が必修化された。小学校には中学校技術・家庭科技術分野や高等学校情報科のようなプログラミングそのものを学習する科目はないため,理科や算数などの既存教科の内容をプログラミングによって学習することを求められている。一方,「誰一人取り残すことのない,個別最適化された学びの実現」を目指して,小中学生に一人一台のコンピュータ端末と高速インターネット環境を提供するGIGAスクール構想が2020年度中に整備される。本研究は,一人一台のコンピュータ環境を活かして,児童がパフォーマンス指数によって学習到達度を把握し自学自習が可能なプログラミング活動によって教科の個別最適化学習を行う方法を開発する。ウイズコロナ時代の新しい自学自習教材を提案し,主体的な教科の学びを提供することを目的とする。 本年度は,小学生が作成可能なプログラミング環境を用いたプログラミング教材を検討するために,コンピュータ内で完結するシミュレーションベースのものや実物を動かす実験ベースのものの双方を検討した。コロナ禍の影響で,小学校や中学校における実践は行えなかったが,シミュレーションベースのものについては,大学生の授業の中で実施して検証を行った。実機ベースのものについては,中学校技術科教員を対象とした現職教員研修の中でマイコンボードを用いた演習を行い,中学校の授業で実施可能かどうかの検討を行った。中学生に対しては実施可能であるとの手ごたえが得られたため,本研究での目的である小学生への実施を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では小学生が作成可能なプログラミング環境を用いたプログラミング教材を開発することを目的としている。まずは,小学校や中学校における実践を通じて,小学生や中学生がどのような学習者を行うのか探るところから研究を始める予定であった。しかしながら,本年度も依然としてコロナ禍の影響で現場に入って満足な実践はは行えなかった。前述したように,大学生の授業の中や,中学校技術科教員を対象とした現職教員研修の中で検討を行った。当初想定していた子どもたちを対象とした実践が行えなかったため,「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,実践をベースにした進め方を想定しているが,次年度もコロナ禍の影響で実践が難しいことが考えられる。研究代表者の大西は令和4年度から愛媛大学教育学部附属中学校の校長を兼任することとなり,中学校における実践フィールドに近い立場となった。令和4年度は,中学校を主要フィールドとしながらも可能であれば愛媛大学教育学部附属小学校においても実践を検討しながら附属小学校,附属中学校の教員はもつ知見を活かしながら研究を進めていく。 令和4年度は算数や理科の中で単元目標を達成しうるプログラミング課題を検討する。ここでは,何か一つの指標から指数を計算するパターンに加え,観点別の二つ以上の指数を計算するものなども考察する。二つ以上の指標を算出する際は,子どものわかりやすさや取り組みを促すため,一つの指数にまとめることも検討する。このためには,それぞれの指標をどの程度重視するかという重み係数の設定などが重要になる。数値シミュレーションおよび数学や情報工学の専門家からの助言を取り入れながら分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で小学校における実践を一切行うことができず,ここで使用する予定の機材を購入しなかった。これに伴い,予備実験等も行っておらず,謝金を使用していない。また,成果発表は行ったもののその全てがリモート発表となり,一切旅費を使用しなかった。
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