研究課題/領域番号 |
21K02805
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
加藤 利康 日本工業大学, 共通教育学群, 准教授 (20826698)
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研究分担者 |
神林 靖 日本工業大学, 先進工学部, 准教授 (40269527)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | タンジブル教材 / スマートフォン / QRコード / プログラミング教育 / 授業支援システム |
研究実績の概要 |
本研究では,スマートフォンで動作するプログラミング教育向けのタンジブルな教材を開発した.学習者は,コンピュータでプログラミングするのではなく,QRコードの付いたタンジブル教材を用いて,プログラミングを行い,論理的思考能力を伸ばすことができる.このタンジブル教材により,スマートフォン上でプログラムが動作し,理解を深めることができる.プログラミング言語に依存しないため,Scratchやmicro:bitといったビジュアル型のプログラミングに応用することができる特徴がある. 本教材を用いた授業の問題点としては,指導者が学習者のプログラミング状況を把握しにくいことである.われわれはこの問題に対して,タンジブル教材を学習者が読み取った時点で,その情報を収集・分析し,指導者の意図どおりに学習できているか,できていない場合は,どのあたりが問題か,を指導者に提供できる支援システムを開発する. 支援システムの開発状況は,タンジブル教材の読み取りから,プログラムの実行,そしてプログラムの情報収集までができるようになった.学習者の立場からは,学習できる準備が整ったといえる.しかしながら,指導者に対しては,まだ学習者のプログラミング状況を提供するに至っておらず,このあたりを引き続き開発していく. タンジブル教材の開発からプログラムの実行まで,本研究で得られた知見について,IPSJ全国大会(春季大会)および,ICICEソサエティ大会において発表を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究計画は,支援システムの開発である.本システムは、学習者たちが配置したタンジブル教材から読み取ったプログラムをサーバで収集し、解析する。その際に構文エラーや意味エラーについては学習者にフィードバックする。つぎに行動の分類およびクラス全体で進捗の遅れを検出する。そして指導者へ提供し、学習者への支援を実現する。本システムの開発に際し,大きく2つの機能を作成する.1つはプログラミング行動の記録であり、1つは学習状況の提供である。 今年度は,プログラミング行動の記録ができるようになったが,学習状況の提供には至っていない.学習状況を提供するためには、プログラミング行動を分類し、進捗の遅れを検出できるようにする必要がある.しかしながら,スマートフォンからプログラミング行動を記録する際に,使っていたプログラムのライブラリの仕様変更があり,円滑にサーバに記録することができなくなってしまった.具体的には,学習者に操作の負担をかけてしまう問題がある.計画としては,このまま進めることもできるが,評価に際して問題が残ってしまうため,ここで解決しておく必要がある. 進捗状況としては,やや遅れているものの,全体としては上記のとおり,予定通り進められているとも考えられる.昨今のコロナ対応による学内外における業務の多用化や煩雑化が影響を及ぼしている可能性もある.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まず仕様変更に伴う問題点を解決し,残りの機能である指導者への提供機能を実装することである.実装できたことをふまえて,これとは別に分析手法について,研究を進めており,プログラミング行動の記録機能と合わせることで今年度(令和3年度)の計画どおりとする. 令和4年度は,開発した本システムを用いて、研究代表者と研究分担者のそれぞれの日頃のプログラミング指導から得られた知見をもとに、仮設を生成する。具体的にはダミーデータを登録して、システムに提示された内容がプログラミング行動の分類と同等な内容か、さらに進捗が遅れている学習者が居る際には、遅れていることが提示されるかを確認する。 コロナ渦において国際会議で発表することができなかったが,令和4年度は発表し,本システムと提案手法について議論をし,仮設評価への準備を進める.しかしながら,コロナ対応は見通しが立たないところもあるため,学内においての仮設評価を検討しつつ,最適な方策を考えていく方針である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦の影響により国際会議や国内学会の旅費がなくなったため. 令和3年度にコロナ渦の影響により,仮設評価の遅れが明らかとなったため,予定していた機材の購入を見送った.この教材の購入については,令和4年度中に購入し,仮設評価を行う準備を整える.また,合わせて令和4年度の予算についても機材の購入および国際会議・学会発表における会議費・旅費の発生により,申請通りの計画とする.
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