本研究の目的は,Webブラウザを利用したプログラミング教育環境において,これまでの内容の制約とサーバーの負荷の両方を少なくしたシステム構築を実現することである. 本研究ではプログラミング言語としてJavaを対象とし,プログラムを実行するために必要なコンパイルも含めた実習環境をWebブラウザ上に仮想マシンを組み込むことで,サーバーの負担を軽減する.さらに,申請者がこれまでに開発したプログラムの解析器も組み込むことで,プログラムの文法上のミスや使用に対する不備などについてサポートが行える機能を付加する. これらの実現のために,1.Webブラウザ上での仮想マシンを組み入れた環境の構築,2.学習者をサポートするためのプログラム解析器の改良,3.プログラミング学習環境としてPC上との比較による再現度の調査を行った.本研究では3年間の研究期間で実施し,これまでに1については1年目において試験的な環境構築を行い,学習対象予定のプログラムについてWebブラウザでコンパイルと実行が行えることを確認した.2については100名規模のプログラミング科目で学生が提出した課題を評価し,サポートするための項目とフィードバックの検討を行った. そして,最終年度に3についての取り組みを行い,具体的な内容としては開発したプログラム解析器をWebブラウザでの仮想マシンで動作できるように改良し,PC上との動作の違いについて検証した.検証の結果,ほぼ全ての機能について評価結果の出力が確認された.そこで,一部の機能について不具合やパフォーマンスの課題が見られたが,全体として当初の予定通りの成果が得られたと判断している.また,最終年度では当初の予定を上回る成果として2に関連するプログラミング学習項目の理解についての調査が深められた.
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