研究課題/領域番号 |
21K02811
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
西岡 圭太 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (10748734)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 物理教育 / 力学実験 / 力学シミュレーション / データ解析 / eラーニング教材 |
研究実績の概要 |
初等力学教育用の理論解説・実験装置・データ解析ソフト・シミュレーション教材パッケージに含める予定の力学シミュレーションを,JavaScript及びJSXGraphライブラリを用いて作成した.以前から作成していたものを含め,等速直線運動,等加速度運動(粗い水平面を滑る物体,粗い斜面を滑る物体),放物運動(自由落下,水平投射,斜方投射,モンキーハンティング,粘性抵抗を伴う斜方投射),回転運動(等速円運動),振動(単振動,単振り子,減衰振動,強制振動,2連成振動)のシミュレーションを作成・改良し,誰でも自由に利用できる物理教材としてKIT物理ナビゲーションのサイト(https://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/physics/simulation/material/)に纏めて公開している. 力学実験において加速度などのデータをスマートフォンで測定するためのアプリを作成した(ブラウザ上で動作するWebアプリ).この測定アプリでは,測定開始時のスマートフォンに固定されている座標軸を静止座標系として,加速度データと同時に方位センサからデータをとり,方位データを用いて座標変換することにより,その静止座標系での加速度を得ることができる. 実験教材作成については,2021年度に予定していた等速直線運動・等加速度直線運動を観測できる実験装置の作成が遅れている.2021年度では,これまで力学の授業で実施してきた「斜面を転がる剛体球」の実験がコロナの影響で出来なくなった為,この実験モジュール(等加速度直線運動を観測する実験装置のベースとする予定)を利用した遠隔授業での演示実験を試行的に実施し,遠隔実験の実践法を模索した.また,既存の力学台車2台を用いた衝突実験での加速度データの測定・解析を行い,加速度データから速度や位置を算出する教材を作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,等速直線運動・等加速度直線運動を観測できる実験装置を作製し,これらの実験装置に対応した解析ソフト・シミュレーションの作成を行う予定であった.シミュレーション作成については,当初の予定通り順調に進んでおり,スマートフォンで加速度を測定するためのアプリもおおよそ作成できた.理論解説についても本学で公開しているWebサイト「KIT物理ナビゲーション」(http://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/physics/)で随時作成中である.それらの開発に優先的に時間を使ったことで,実験装置の作製にまで至らなかった.また,COVID-19の影響で対面授業において物理実験が出来なくなり,遠隔授業で力学の現象を実感できるような実践法を模索し,これまで用いていた実験モジュールの遠隔授業対応に時間を取られたことも影響した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,計画が遅れている実験装置の作製に速やかに着手し,等速直線運動,等加速度直線運動を観測できる実験モジュールの作製,及び対応した理論解説のWebページを完成させる.また,それらの実験モジュールとスマートフォンの加速度センサを用いた測定・解析方法を確立する.当初,微小ビーズ球を敷き詰めてその上で物体を並進運動させることにより摩擦を無視した運動を観測できる装置を考案していたが,より取り扱いやすい低摩擦シートを用いた実験装置についても考案し,低摩擦シートを敷いた2次元平面上で,放物運動や物体の衝突現象を測定することを予定している.また,カメラで撮影した映像から画像認識を用いて,時々刻々の物体の位置を測定できるアプリの開発を協力者とともに作成することを予定している.物理シミュレーションについても学習者がより使いやすく理解し易いようにユーザインターフェースなどを改良していく.COVID-19が落ち着き,対面授業での物理実験が問題なくできるようになれば,開発した教材を実際の授業で利用し,学生からのフィードバックを基に改善を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置の構想にとどまり,作製が遅れている為,部材を購入をしなかった.また,解析ソフト・シミュレーション作成のための開発サーバを購入予定であったが,初年度の開発規模では自前PCで事足りたため,購入を見送り,次年度で早々に購入することとした. 初年度で作成予定の実験装置の構想に目途が付き,次年度において部材を調達し,予定していた実験装置を作製する.
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