研究課題/領域番号 |
21K02841
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研究機関 | 名古屋産業大学 |
研究代表者 |
伊藤 雅一 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (60340387)
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研究分担者 |
岡村 聖 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (80314087)
林 敬三 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (50329900)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アジア / 大都市域 / CO2濃度 / グローバルシチズンシップ / 教材開発 |
研究実績の概要 |
本研究は、異なる緯度帯に位置するアジアの大都市域を対象に、CO2濃度の動態とその特徴を検証し、人間活動や都市環境が与えている影響を可視化したうえで、気候変動に対応したグローバルシチズンシップを醸成する環境教育教材の開発を目的とする。具体的には、東京(日本)、高雄市(台湾)、ホーチミン市(ベトナム)、ジャカルタ市(インドネシア)をモデル都市に、CO2濃度測定局を開設し、その収集データと学習支援システムを用いて、1)CO2濃度の動態検証、2)CO2濃度の実測データを利用した環境教育教材の開発とその有効性の検証を行う。 1)CO2濃度の検証については、日本と台湾の既設測定局で収集されたCO2濃度データをコントロールインデックスとして、モデル都市におけるCO2濃度の動態と特徴を明らかにするため、東京中華学校、ホーチミン市台湾学校、ジャカルタ市台湾学校に測定局を開設した(台湾の高雄女子高校は測定局開設済)。また、名古屋産業大学地点に開設した測定局の収集データ(2011年~2020年の10年間を対象)を活用して、地域環境評価の基礎となるCO2濃度分布パターンの検証に取り組んだ。 2)CO2濃度の実測データを利用した環境教育教材の開発とその有効性の検証に向けては、高田高等学校(三重県)と連携し、環境教育の基礎的教材として、植物の光合成実験を収録した視聴覚教材及びこの教材を活用した指導計画の作成と多言語化(英語、中国語、ベトナム語)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の初年度となる令和3年度は、東京中華学校、ホーチミン市台湾学校、ジャカルタ市台湾学校にCO2濃度測定局を開設し、CO2濃度データの収集に着手するなど、CO2濃度の実測データを利用した環境教育の実施条件を整えることに主眼を置いた。 その成果として、名古屋産業大学地点におけるCO2濃度データの検証や視聴覚教材や指導計画の作成と多言語化を行うことができた。 その一方で、モデル都市の高等学校では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、異なるタイミングで休校措置や遠隔授業措置が講じられるとともに、測定局用の資機材も通関手続きに多くの時間を要した。その結果、測定局の開設については、資機材の搬送にとどまり、CO2濃度データを収集する段階に至っていない。 以上から、令和3年度は、モデル都市の高等学校において、環境教育の実施条件を整えることに取り組んだが、その中核となる測定局の開設が遅れていることから、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の取組により、モデル都市の高等学校4校における測定局の開設に目途が立ったことから、令和4年度は、測定局のデータ収集を開始するとともに、CO2濃度の動態把握とこれに基づく環境教育の実施を支援する。また、グローバルシチズンシップの醸成を図るために、国際交流学習のプログラム開発とその評価方法について研究を進める。 また、令和5年度は、モデル都市の高等学校間の国際交流学習を企画し、互いの学習成果を発表し意見交換を行う機会を設けることで、CO2濃度の動態に対する多面的理解とCO2削減に向けた国際協調を下支えするグローバルシチズンシップの醸成に取り組むとともに、その学習到達度を評価する。 以上から、モデル都市の高等学校における教育実践を通じて、気候変動に対応したグローバルシチズンシップを醸成する環境教育教材の開発を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、海外モデル都市の高等学校での環境教育支援等を行う外国旅費や、CO2濃度測定局の開設に伴うデータ整理等の謝金の執行を計画していた。しかし、これらの予算については、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い執行ができなかった一方で、外国旅費に代わる経費として、測定局用資機材の搬送費用が生じた。 令和4年度の当初計画としては、測定局で収集されたデータ整理の継続と環境教育教材の作成、翻訳等を予定している。測定局の開設については目途が立っており、環境教育の基礎的教材の作成と多言語化についても対応済である。 このため、令和4年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえつつ、前年度に未対応であった取組を含め、研究計画の遅れを取り戻すべく対応していくことを予定している。
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