研究課題/領域番号 |
21K02844
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
戸川 聡 四国大学, 経営情報学部, 教授 (20399166)
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研究分担者 |
金西 計英 徳島大学, 高等教育研究センター, 教授 (80204577)
近藤 明子 四国大学, 経営情報学部, 准教授 (60514081)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | eラーニング / 学習支援システム / 避難時学習 / 学習履歴保持 / ブロックチェーン |
研究実績の概要 |
本研究では,被災時における長期の避難生活下での学習継続と学習履歴確保を目的としたフレームワーク構築を目指している.特に自然災害の激甚化により避難生活が長期化するなか,被災後の不十分な情報通信基盤においてもeラーニングを継続し,学習履歴の保持を担保できる枠組みについて検討を進めている.学習履歴分析や人工知能(AI)の発展と相まって,AIを活用した学習者支援も加速すると考えられる.このため,災害発生時やその後の経過において,学習支援環境の維持と学習履歴の保持を担保しなければならない.これらの問題に対し,我々はエッジデバイスとブロックチェーンを活用した学習履歴の分散統合機構を提案し,その実装と効果検証に取り組んできた. 計画三年目の本年度は,これまで検討,実装してきた提案フレームワークのうち,学習履歴統合機構の開発に取り組んだ.フレームワークを構成する要素技術を継続的にサーベイ後,検証した.加えて技術検証のためのプロトタイプシステムを洗練した.実装,洗練された学習履歴統合機構によりラボレベルでの実証実験を実施し,その有効性の検証と問題点の洗い出しを行った. 次年度は計画延長も含め最終年度となる予定である.構築した学習履歴確保のためのフレームワークにより,プロトタイプによる実証実験を実施する予定である.これまでの成果と明らかになった課題を踏まえ,さらなるフレームワークの洗練にも取り組みつつ,得られた成果をもとに関連学会を中心とした発表と論文発表による成果公表を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の研究計画として示した「学習履歴統合機構開発」では,LMSとブロックチェーンに保持される学習履歴の整合性を担保しようとするものである.また,継続して開発中の「ブロックチェーンノード制御機構開発」は,災害時における学習者の学習履歴保持を担保しようとするものである.いずれも実証実験実施のためプロトタイプによる実証を計画してきたが,2022年以前から慢性化している半導体不足や長期化するウクライナ戦争による世界的サプライチェーンの停滞は,本研究で使用するIoTデバイスの調達にも引き続き影響を与えている.具体的には,ラボでの実証実験のためIoTデバイスであるラズベリーパイ4を複数台調達予定であったが,2023年度末においても調達困難な状況である. 一方,クラウド環境上にIoTデバイスを模した実験環境を構築するなど,実証実験に向けたエミュレート環境にて,実装したプロトタイプの稼働実験を実施している.これらから得られた成果と見いだされた課題は,関連する国際会議論文として報告済みであり,成果発表の点では相応の成果を残していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
課題進捗における自己点検評価で示した通り,半導体需要の逼迫や地域紛争長期化により実験機材の十分な調達が実現できなかった.一方,半導体需要逼迫も緩和されながら新たなIoTデバイスもリリースされており,IoTデバイス入手性も改善しつつある.クラウド上のエミュレート環境による実験も模索しながら,効果検証のための実験実施に取り組む. 一方,IoTデバイスなどのエッジデバイスとその関連技術やバックエンドとなるクラウド関連技術の進展は目覚ましい.ブロックチェーン関連技術においてもその進展は目覚ましい.これらの成果進展を引き続きサーベイしながら,成果のフレームワークへの適用と洗練も継続して検討し,提案フレームワークの洗練に取り組む.また,得られた成果は関係学会などで積極的に公表する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
半導体の需要逼迫やウクライナ侵攻の長期化により,実証実験に使用予定であったデバイスの調達が困難であったため,係る支出が少なくなったことから次年度使用額が生じた.これらの経費は既に採録が決定している関係学会での参加費や実証実験実施のための環境整備に充当する予定である.
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