研究課題/領域番号 |
21K02848
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研究機関 | 新居浜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松友 真哉 新居浜工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (90413856)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 複合現実感 / 電磁気学教育 / 有限要素法 / 学習支援システム |
研究実績の概要 |
本研究では、複合現実感(MR)技術を利用して、電磁界をリアルタイムかつインタラクティブに体験することが可能な可視化システムを開発し、オンライン環境下を含む電磁界教育の現場での有用性を検証することを目的としている。本年度は、研究初年度につき、以下の点について重点的に研究を行った。 ①<AR/VR/MR技術に関する基礎調査とデバイスの選定・購入>本研究で利用するデバイスとその周辺技術を調査し、適切なソフト開発環境・デバイスの選定・購入を行った。 ②<電磁界シミュレーション手法の開発>本研究の実現のためには、高速な電磁界シミュレーションの実現が不可欠である。本年度はまず、2次元有限要素法による磁界解析をベースに、新たなメッシュ修正手法を提案し高速化できることを検証した。 ③<モータの原理学習・設計支援システムへの適用>上記手法の適用例として「高速メッシュ修正法を利用したインタラクティブモータ設計支援システム」を開発した。モータの原理学習や設計の場面では、磁界シミュレーションによる可視化・特性評価が有用であるが、磁界シミュレーションをインタラクティブに実行できる可視化システムを開発・検証した。 ④<オンライン環境下での実行方法の基礎的な検証>本研究では、オンライン環境下で複数人が対話的にソフトを実行し、電磁界の体験を共有できることを最終目標にしている。このため、基礎的な通信プログラムのテストを行い、簡単なモデリングについては複数人で実行できることを確認した。これを手掛かりに、次年度以降に本格的に電磁界シミュレーションを実行可能なシステムの構築を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標に向けて、要素技術の基礎的な検討を順調に行い、2次元磁界シミュレーションを高速化・インタラクティブ化する手法を提案・実現できた。この内容を国際学会や論文で成果発表できたことから「おおむね順調に進展している。」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の検討内容を踏まえて、次の研究ステップに移る。今後の推進方策は以下の通りである。(1)本研究課題に適した3次元電磁界シミュレーション手法の開発を行う。初年度に開発したインタラクティブ磁場可視化手法は、2次元有限要素法をモータ設計に利用可能なレベルで高速化することに重点を置いた。しかし、この手法を単純に3次元有限要素法に拡張することは計算スピードの面で困難であるので、新たな計算手法・可視化手法の検討を行う。(2)MRデバイスでの実行を検証する。初年度には磁界シミュレーションの高速化手法を開発したが、それをMRデバイスで実行し問題点を明らかにする。(3)オンライン環境下での実行手法をより詳細に検証する。(4)適用例を追加する。初年度にはモータモデルに特化したので、他のモデルへも適用し検証する。(5)被験者から利用感のデータ収集を開始する。本システムは、体験型システム開発であるので、利用者の使用感を集約し可視化システムの開発にフィードバックする。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会がオンライン化された影響で、参加旅費が不要になった。また、計算サーバの購入を次年度以降に見送りアルゴリズムの開発に重点を置いたためである。次年度以降には、MRデバイスでの実行実験も本格化させる予定であり機器の購入を行う。また成果発表のため、学会参加費等に使用する。
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