本研究が対象とする観察・実験コンテンツは、(1)環境問題を視野においた天然高分子化合物と汎用プラスチックの加水分解などの基礎的な化学反応追跡システム、(2)科学的な見方・考え方を育む上での物質の状態変化と化学変化の分子レベルでの可視化・動画教材システム、(3)金属とそのイオンの酸化還元過程の可視化・動画教材システム、の3つである。 これらに関連する成果として、2021年度の論文1)から論文4)を、2022年度に論文5)から論文8)を、それぞれWeb上で入手可能な報告として出した。 論文1)は高大連携科学実験講座企画の成果分析に関わるもの、論文2)は小学4年生から中学生対象のマルチメディア教材を活用した企画の分析、論文3)は論文2)の続報であり特に金属イオンの酸化還元過程の可視化教材について試行したもの、論文4)は高等学校におけるアクティブ・ラーニング教材を指向した有機化合物の構造化学的研究の成果である。論文5)は高等学校化学教育において、アクティブ・ラーニングを取り入れた授業展開用教材開発へとつなげるもの、論文6)は高等学校化学教育にアクティブ・ラーニングを取り入れた授業展開用教材開発へとつなげることをめざし高校化学の教科書内でよく用いられるフェノール性OH基の無水酢酸によるアセチル化を題材として、核磁気共鳴装置(NMR)による微細構造の解析を行いその構造変化を調べたもの、論文7)と論文8)は前年度の論文1)に引き続いて高大連携科学実験講座企画の成果分析を実施し、実施場所や実施方法の違いによって教育効果が異なることを調べたものである。 2023年度は、本研究により蓄積された理科教育・化学教育用コンテンツを、インターネットで利用できる形で提供する方法を検討し、中等学校理科・高等学校化学教育現場での持続可能な指導法としての利活用を図り、所期の目的を達成した。
|