研究課題/領域番号 |
21K02858
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
高橋 暁子 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (20648969)
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研究分担者 |
竹岡 篤永 新潟大学, 教育・学生支援機構, 特任准教授 (30553458)
根本 淳子 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (80423656)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | FD / 授業コンサルテーション / 授業事例データベース |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、統合型問題解決学習環境の基盤となる授業事例DBの構築である。本DBで扱う授業事例とは、現実の実践を可能な限り文章化したケース教材を意味する。本年度は、授業事例DBの設計を検討するために、高等教育を題材としたケース教材の先行研究調査と、1件の授業実践を対象にしたケース教材の試作を行った。 先行研究調査として、まず米国におけるインストラクショナルデザイナー養成課程で使用するテキストの一つに“The ID Casebook”を参照した。ビジネススクールモデルに基づいたケーススタディへのアプローチを使用した本書(5版)は、初等中等教育(6編)、高等教育(12編)、企業内教育(8編)の3つのセクションで構成され、合計26編のケースが収録されていた。一方、日本においては、初等中等教育を題材にしたケース教材はいくつかあるものの、高等教育を題材としたものは見られなかった。 そこで、日本の高等教育を題材とした授業実践ケース教材の試作を通じ、授業事例DBの設計を検討することとした。ケースの試作は、(1)情報収集、(2)インタビュー内容の構造化、(3)ケース原案の執筆、(4)練習ケースと問いの開発の4ステップで進めた。その結果、本研究で収集する授業実践の情報は、先行研究で筆者らが開発した「8つの質問」に沿って8項目(ゴール、前提・後継科目、科目内容、領域の要点、領域の影響範囲、科目担当者の立ち位置、領域と科目の関係、続けたいこと・変えたいこと)の観点で分析し、DB化していく方針が定まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1年目の2021年度に、高等教育における授業実践の事例収集のため、複数の協力者の所属先(大学)を訪問する計画であった。しかしながら、新型コロナ感染症の影響により各地への出張が難しく、インタビューや授業見学ができなかった。一方で、高等教育における授業支援(コンサルテーション)の専門家養成を題材にしたワークショップおよび研究会を1回開催し、参加者からまとめて授業実践例の情報収集をした。当初計画のような詳細な情報収集はできなかったものの、次年度以降の情報収集に向けた足掛かりはできた。 また、1件の授業実践例をもとに、ケース教材の試作を行ったことで、研究2年目に計画していたデータベース設計の一部を先行して行うことができた。 以上を総合的に考え、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、1年目の成果を踏まえて事例収集を加速させる。具体的には、高等教育で授業実践をしている研究協力者に対して8つの質問を使った半構造化インタビューを行い、授業見学などをして情報収集をしていく。コロナ禍の様子を見ながらではあるが、移動制限が解除されたタイミングを見計らって、分担者と協力しながら事例収集に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で出張を見合わせ、予定していた旅費交通費を使用できなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度はインタビューや授業見学等を積極的に行い、旅費交通費として使用する計画である。
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