研究課題/領域番号 |
21K02859
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松下 幸司 香川大学, 教育学部, 准教授 (40432778)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ICT活用 / 情報教育 / 教員養成 / 初任者研修 / 授業づくり / 学習指導 / 教育実践 |
研究実績の概要 |
2023年度、前年度までに行った小学校・中学校における教育実践の調査研究もふまえ、多様な学習活動の中から特に「ICT活用・情報教育」の学習活動に焦点化して研究を進めた。「ICT活用・情報教育」の学習活動を計画・実施する上で、現職教員がどのようなことを考え、学習活動を計画し準備を行い、また実際の学習活動を行う中で、どのようなことを考え、配慮し、児童生徒を指導・支援していたのか、自身の教育実践を動画像記録・写真記録を参照しながら振り返り、省察を加えていただいた。本研究に関して、小学校教諭5名、中学校教諭5名、高等学校教諭5名に「ICT活用・情報教育」の学習活動を計画・実施する上で、教師として必要なスキルや思考内容について、次の世代の教員に必要なスキルや資質能力を伝達するために、手引きとなる書籍を刊行することとした。 本研究の当初計画においては、映像記録を軸に教員養成の教材を構成することを計画していたが、対象とした教員それぞれと相談を重ねたところ、児童生徒の個人情報保護の観点や、教員自身の実践に対する省察の内容を、手に取ることのできるかたちで何度も租借し、教員として必要なスキル・資質能力の理解と、次世代の教育実践に繋ぐことができることをねらい、書籍として刊行する方法を採ることにした。2024年3月、教員を目指す学生・初任者教員を対象とする書籍「「ICT活用・情報教育」の学習活動を創造する ~見てわかること・聞いて知ること~」を刊行した。 書籍においては、教育実践について「見てわかること」と実践者に「聞いて知ること」を整理して示すことにより、教員を目指す学生・初任者教員が授業づくりや学習指導のポイントを明確に理解できるよう工夫した。また「聞いて知ること」については、スキル・資質能力の観点などによりカテゴリー分析して示し、次世代の教員への理解の促進と継承を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」において述べたとおり、小・中・高等学校現職教員の「ICT活用・情報教育」の学習活動の計画・実践に関するスキル・資質能力について総括し、教員を目指す学生・初任者教員を対象とする書籍として刊行することができた。ただ本研究の目的には「教員養成プログラムの開発」を含んでいる。刊行した書籍を活用し「ICT活用・情報教育」の学習活動の計画・実践を促す教員養成における演習プログラムの設計と試行実施に十分に取り組むことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
刊行した書籍「「ICT活用・情報教育」の学習活動を創造する ~見てわかること・聞いて知ること~」を活用し、教員養成課程の授業において、「ICT活用・情報教育」の学習活動の計画・実践を促す演習プログラムの設計・計画を2024年度前期に行い、2024年度11月頃を目途に、教員養成科目「教育の方法と技術」を中心に演習を試行実施し、検討を加えたい。なお、教員養成課程における演習プログラムの設計・計画においては、香川県教育委員会の指導主事にも助力いただき、現代次世代の学校教員に必要なスキル・資質能力を大学教育においていかに育成すればよいか計画を練るとともに、演習プログラムに取り組む学生の実施状況についても参観いただき、改善に向けた検討を加えることを計画している。 また「研究実績の概要」に述べたように、児童生徒の個人情報保護の観点などから、教育実践の記録映像を動画像教材としてそのまま活用することには難しさがあるが、自身の実践について省察をいただいた現職教員と協議検討を行い実施可能性を模索し(一案として、教育実践に関する現職教員による省察映像のみを用い、教育実践記録については動画ではなく静止画(写真)で示すなどの方法を検討している)、現職教員のスキル・資質能力を次世代に繋ぐ動画像教材として制作し、演習プログラム等において試行活用することを目指したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前に述べたとおり、刊行した書籍も活用して「教員養成プログラムの開発と実施」を行うことについて十分に取り組むことができていない。このため、演習プログラムの実施状況を映像記録し分析検討するためのメディア(SDカード)、ならびに本年度の映像記録データ等研究データのバックアップ用外付HDDの購入を計画している。 また先述した2024年度の研究計画に述べたとおり、現職教員のスキル・資質能力を次世代に繋ぐ教員養成・教員研修用動画像教材の開発を計画しており、その際に必要なメディア(SDカード・DVD-R等)の購入を計画している。 (なお2023年度において刊行した書籍の発刊にあたっては、書籍内容として本研究の成果をふまえて編集しているが、科研費自体は発刊経費に充てていない。)
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