研究課題/領域番号 |
21K02860
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大下 晴美 大分大学, 医学部, 准教授 (00618887)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 英語絵本 / NIRS / 読み聞かせ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は小学生と大学生の英語絵本読み聞かせ聴取時の脳活性状態の差を比較検証することによって,英語学習初期段階の小学生に対する効果的な英語絵本の選定方法や指導法に関する教育的示唆を得ることである。 本研究課題の2年目である2022年度は,(1)倫理委員会への申請,(2)被験者の募集,(3)小学生と大学生における未知語に対する寛容度に関する実験を行う予定であった。(1)についてはすでに申請を行い,倫理委員会での承認を得た。(2)・(3)においては,新型コロナウィルス感染症の断続的な感染拡大が起こったため実施することができなかった。そのため,実験の遅れを取り戻すために実験計画を見直し,(3)と2023年度以降に実施する予定であった(4)文字や絵の分量の異なる教材における脳活性状態の差の検証実験,(5)指導法(コンテントスキーマの有無)の違いにおける効果の検証実験を一度に実施できるよう実験教材を作成した。(3)については,2021年度に作成した既知語・未知語を文字・音声のみ,文字・音声+絵を組み合わせた5分程度の実験教材を作成した。(4)に関しては,絵本をそのまま使用したもの,絵の割合を半分にしたもの,文字のみにしたものの3種類の教材を読み聞かせする5分程度の実験教材を作成した。(5)については,小学校1・2年の国語の教科書に掲載されている物語文を調査し,小学校1・2年の教科書に掲載されている物語の英語版の絵本をコンテントスキーマ有の教材として、あまり日本語では販売されていない絵本をコンテントスキーマ無の教材として読み聞かせする5分程度の実験教材を作成した。これにより,1回の実験に要する時間は15分程度から30分程度と長くなってしまったが,被験者が何度も実験のために来校する負担を軽減すると同時に,今後の感染状況等により実験間の被験者数の差という問題も解消できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は実験の一部を開始する予定であったが,新型コロナウィルス感染症の断続的な感染拡大が起こり,被験者の募集や実験を行うことができなかった。しかし,新型コロナウィルス感染症が2023年5月に第5類に分類され,実験計画も修正したため,次年度以降の研究計画の遂行に向けて順調に準備が整いつつあると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究実施計画については,これまで遅滞していた実験を当初の計画を修正し,遂行する予定である。具体的には,小学生と大学生を対象に,未知語に対する寛容度,文字や絵の分量の異なる教材の効果,指導法(コンテントスキーマの有無)の違いによる効果に関する3つの実験を同時に開始する。2023年度中に小学生・大学生各30名以上の被験者に対して実験を行う予定である。また,2024年度に向けて収集したデータの分析及び研究成果の発表・論文化の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,新型コロナウィルス感染症の感染拡大により,実験の実施が困難な状況であり,実験に関する費用が発生しなかった。また,参加予定の学会もオンライン開催であったため旅費が発生せず,次年度使用額が生じた。そのため,2022年度未使用額と次年度予算を合算し,実験実施に必要な機器備品等を購入や実験補助者や被験者に対する人件費の支出により,次年度使用額を使用する予定である。
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