研究課題/領域番号 |
21K02877
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
荻野 和子 東北大学, 理学研究科, 客員研究者 (40004353)
|
研究分担者 |
荻野 博 東北大学, 理学研究科, 名誉教授 (00004292)
渡辺 尚 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (20756522)
豊田 耕三 東北大学, 理学研究科, 教授 (50217569)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 感染リスク回避 / SDGs / 分子レゴ / インクルーシブ教育 / マイクロスケール実験 / 化学実験 / 炎色反応 |
研究実績の概要 |
本研究は、主として二つのテーマに分けられる。 ①COVID-19等感染症の感染リスクを低減する化学実験:これまでの研究を発展させて、香川大学でマイクロスケール化学実験(MC)による電気化学実験のワークショップを半リモートで行った。また、いくつかの気体の性質を示すMC演示実験を改良し、香川大学で実施したところ、高い評価を得た。MCによって感染防止に効果的な実験授業を実施できることが示された。 ②SDGsの推進に資する実験については以下のような研究を行っている。 ア.インクルーシブ教育のための化学実験:「肢体不自由生徒のためのマイクロスケール実験の開発と実践」を筑波大学支援学校の山田一幸教諭の協力のもとに 行い、高校化学基礎と中学理科のいくつかのテーマでMCを開発・実践した。また、生徒の色覚特性を考慮した炎色反応実験(金属元素7種を含む水溶液)を研究し、色覚特性ごとに見分けることが難しい炎色の組み合わせが存在するが,その組み合わせの一部は背景色を変化させることで見分け易くすることが可能であることを明らかにした。 イ.分子レゴの安全な実験教材の開発:ベンゾ[b]チオフェンのシリカゲル加熱環化法を開発しているが、今回はより一般的なメチルスルファニル基を有するエチニルベンゾ[b]チオフェンのシリカゲル加熱環化法を検討し、種々の官能基を有する誘導体に対して有効であることを確認した。また、他のアルキルスルファニル基を有する原料との構造活性相関について検討した。さらに本方法で得たジヨードベンゾ[b]チオフェンを小中高生の体験型学習の教材としてワークショップを開催した。第316回 化学への招待(宮城地区)小さな小さな「分子レゴ」ー1個1個は目には見えませんー (於 東北大学理学部、2022年10月)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロスケール実験がコロナ禍における感染防止に有効なことを示すことができた。 SDGsに資する種々の化学実験についても、概要で述べたように成果をあげることができ、今後発展すべき方向がわかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1.インクルーシブ教育のためのマイクロスケール実験をさらにいろいろなテーマで開発する。 2.安価だが精度の高い電子天秤を活用した定量的なマイクロスケール実験を開発する。このような天秤は肢体不自由生徒の使用に適している。 3.分子レゴに関する実験教材について:関連するビルディングブロックの効率的な合成および連結方法についてさらに研究し、側鎖配列(シークエンス)を制御した大規模分子系を構築する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の中、実験教室、研修が少なく、消耗品費の使用が少なかった。研究会、実験講座はリモート開催のものもあり、旅費も使用が少なかった。 令和5年度は、研究打合せ、学会参加、研修、実験教室による試行のために消耗品費、旅費を使う予定である。
|