研究課題/領域番号 |
21K02890
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
興治 文子 東京理科大学, 教育支援機構, 教授 (60409050)
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研究分担者 |
小林 昭三 新潟大学, 人文社会科学系, 名誉教授 (10018822)
右近 修治 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (60735629)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 思考の可視化 / CBT / 物理学における多様な表現 / 反駁文 / 視線追尾 |
研究実績の概要 |
学生が物理概念を理解する上での動画分析やシミュレーションの有効性、物理学の多様表現による理解の困難に関する調査は引き続き行ったが、視線追尾装置を用いて思考を可視化する調査には至らなかった。その理由としては、被験者が問題解法の際に単にモニターを見るだけでなく、書き込んだり操作できるような状況で調査を行うことを計画していたが、現在の実験装置では被験者の姿勢が悪い場合に視線のデータが取れないという技術的な問題が発生しており、すぐに改善できなかった。そこで、今年は被験者がモニターを見るだけの実験方法に変更し、文章構成の違いや図があることによる科学概念理解の有効性について検討を行うことにした。
文章構成については、先行研究において反駁文で提示された群は、通常の文章で提示された群よりも読む時間が短く、事前事後調査においても概念理解に有効であることが明らかとなっている。この研究について、先行研究とは調査方法を変え、文章全体がコンピュータの画面に提示される状況にして、被験者がどのように文章を読んでいるのかを視線追尾装置を用いた研究を行った。被験者数は約20名である。群による違いよりも個人差の方が大きい状況ではあるが、読む時間や概念理解の有効性についてはおおむね先行研究と似た傾向がみられた。 視線追尾装置を用いた研究を行ったことにより、反駁文で提示された群は通常文が与えられた群と比較して、反駁文を含む段落を読む速さが早いことが明らかとなった。これは、文章の要点が明示されているからだと考えられる。一方で、文章を読みなおしたり、内容理解のために図をどの程度参照するのか、いつ図を参照するのかについては、明確な結論を得ることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者の姿勢が悪いと視線追尾装置を用いた実験において視線のデータが取得できないという問題について、実験方法の見直しを検討したが有効な改善の手立てを見つけることに困難が生じ、計画を延期することとした。 新たに行った文章構成の違いと図が科学概念形成に与える影響についての研究についても、モニターに表示した問題文の分量が若干多く、被験者がどの段落を読んでいるのか、図をどの程度見ているのかなどの解析の際に明瞭ではない結果が出る場合があった。モニターに表示させる問題文を短くする、被験者自身が問題文をスクロールして読むことができるような調査方法にするなど、調査方法の見直しを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
被験者の姿勢が悪い場合に視線のデータが取れないという技術的な問題については、実験方法を引き続き検討し、来年度は当初の研究計画を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請書に記載していたグラスタイプの視線追尾装置は交付された金額では購入できなかったため、研究の実施方法を変更し、視線追尾装置の補助部品を購入した。しかし、この補助部品では、被験者の視線がさえぎられて調査データが完全に取得できないことが判明した。今年度は実験方法の見直しを検討したが、予算の範囲内で妥当な実験方法を見つけることができなかったため、予算を繰り越しし、引き続き検討する。 また、申請の段階では海外にいる研究協力者と国際交流をすることが計画されていたが、長引くコロナ禍により現地での交流をすることがかなわなかった。 来年度は、研究交流も活発になることが予想される。また、実験方法については引き続き検討を行う。
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