研究課題/領域番号 |
21K02898
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
日比野 拓 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60513835)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教材開発 |
研究実績の概要 |
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、私たちの日常生活に多大な影響を与えた。COVID-19に関わる科学的・社会学的な内容は、将来高校の教科書に紹介されることとなるだろう。特に、科学と人間生活のかかわりを学習する高校理科の科目の一つである「科学と人間生活」では、その掲載の可能性が高い。COVID-19を題材とした学習教材の開発は、世界中で行われているが、そのほとんどが「新型コロナウイルスとは何か」や「ワクチンとは何か」など科学的な知識を平易な言葉やビジュアルで紹介しているものであった。「科学と人間生活」の性格や学習の目標を考慮すると、より日常生活との関連を強調した学習教材の開発が求められる。 今回我々は、2003年に環境省が考案した自然環境と人間の生産活動のバランスを考える「エコプラントゲーム」というゲーミング教材をベースとして、新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐため、環境衛生面に気を付けつつ、工場での生産活動を行っていくゲーミング教材を開発した。次年度大学生を対象としてこの教材を試行し、その後高校生を対象として実践を行っていく予定である。 次に、免疫のしくみを学習する観察実験の事例として、ウニ胚・幼生が実験材料として適合するのかを継続して調べている。ウニ幼生の色素細胞は、異物に対して脱顆粒を起こして色素分子を放出し、ヒトの好酸球やマスト細胞の免疫応答と類似した機構があることが分かった。この現象の動画を作成したり、色素合成を阻害する試薬を用いて、色素無し幼生を作成し、異物への免疫応答を調べる実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年の研究成果を学会で口頭発表したこと、3Dプリンターを利用した教材開発の論文を出版したこと、科学と人間生活の新たなゲーミング教材を開発したこと。これら3つの点から、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度同様、免疫・代謝のしくみや、科学と人間生活の学習指導に即した新たな教材を開発する。まず大学生へ試行した後、児童生徒へ実践と評価を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、学会の開催がオンラインとなり、旅費を使うことがなかったため。この費用は次年度以降の教材開発にかかわる消耗品の購入にあてることとした。
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