研究課題/領域番号 |
21K02899
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
平島 由美子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60242377)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教員養成 / 電気回路 / 素朴概念 / 誤概念 / 実験講座 |
研究実績の概要 |
これまでの質問紙調査の結果を活用し、学習者の電流や電圧概念の理解を促す実験講座(実験パッケージと指導方略)について検討した。まず、誤概念を解消させる目的で検討した実験パッケージの有効性を確認するため、教員養成系学部生の理科専攻の学生を対象に学生同士の話し合いは一切無しで実践してみたところ、期待したほど正答率が上がらなかった。誤概念から科学的概念への概念転換には、実験パッケージの検討をするだけでは不十分で、学生同士や学生と授業者による社会的相互過程も合わせて考慮していく必要があることが確認できた。また、過去に同様の取り組み(実験パッケージで参加者同士の話し合いあり)を実践した際に参加者に記入してもらった振り返り用紙の見直しを行ったところ、参加者同士の話し合いの効果が大きいことがわかった。振り返り用紙に記入された内容としては、「実験の結果をみんなで出し合って疑問点を並べ、共有し、解決できたので、とてもすっきりした」「話をしていると一人だと浮かばなかった疑問がたくさん出てきて、グループで行うことで学びや考えが深まることを実感した」「他の人が考えた実験へのリクエストを聞いて、あ~なるほどと思うことがたくさんあって面白かった」「話し合いでは、習ったことがただ覚えただけで本質の理解はしていなかったんだと全員が思っていたと感じた」「頭が痛かったけど、分かると楽しかったです。中学校のときは、これはこうなるものだと教えられたような気がします。時間はかかるけど、ゆっくり考察したり、班のみんなで教え合ったりするととても楽しい」「中学校の時に習っていたはずなのに当時の自分がどう考えて納得していたのかとても不思議でした。今回考えがすごく進みはかどったので、班でもう1時間考えたいです」等の記述があった。参加者同士の話し合いの効果が大きいことが確認できたので、今後、この点も踏まえて実験講座を検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も教員養成系学部生を対象とした電流・電圧理解に関する実態調査を継続して実施したが、単純集計は終わったものの分析が途中である。また、これまでに実施した教員養成系学部の理科専攻の学生を対象とした調査結果の見直し作業を行い、学習者の電流・電圧の理解を促す複数の実験教材の組み合わせと順次性について検討したが、教員養成系学部生(主に非理科専攻)を対象にしたインタビュー調査が予定とおりに進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、教員養成系学部生(主に非理科専攻)を対象にしたインタビュー調査を進める。その結果を踏まえて実験パッケージを再検討し、参加者同士の話し合いを入れた実験講座を実施する。参加者としては、教員養成系学部生(主に非理科専攻)を考えている。事前・事後の質問紙調査等で、参加者の電流・電圧理解度等の変化を分析・評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学習者の電流・電圧の理解を促す複数の実験教材の組み合わせと実験講座の対象人数の規模や回数が決めきれず、対面での実験講座の実施に必要な数の実験器具類等を購入するに至らなかった。また、質問紙調査を継続するため、データ入力作業のための人件費を確保しておく必要があった。
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