研究課題/領域番号 |
21K02907
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
牧下 英世 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (80631580)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 和算書 / 算額書 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
2021年度の実績の概要は次の通りである。 1. 教材の開発: (1)和算書, 算額書から, 問題を抽出し,その現代語訳, 現代的解法をつけた。また, 教材としての利便性のため, できるだけ考察など, 授業をする上で参考になる事項をつけた。 2. 研究発表および成果の公開: (1)5月29日:理数研ゼミにおいて口頭発表を行った。「sin 15を図形で求める」。 (2)6月11日,私立中学高等学校(熊本県)での授業: 教材の実証授業:「数学を見える化する図のススメ」 , 中学3年,高校1年,2年各30名合計90名の生徒さんと4名の先生に参加していただいた。(3)8月20日, 第45回日本科学教育学会, 課題研究発表「数学教育におけるテクノロジー活用の将来像の考察 12」の分科会において, 研究発表(口頭発表)をおこなった。日本科学教育学会第45回年会論文集 pp.97 - 98 2021年8月。 (4)9月25日,理数研ゼミ(東京理科大学数学教育研究会)において, 幾何分野の活性化教材の開発:『異形同解』による教材化として研究発表を行った。これは,日本学士院が所有する江戸時代の和算家藤田定資(貞資と書くことがある。)を教材化したものである。 (6)8月2日 芝浦工大において,算数講座を行った。(7)12月3日 芝浦工大において,和算講座を行った。 3. 研究集会:12月27日,科研 研究集会を行った。大宮校舎4号館5階,講演:9本, 参加者 12人の参加者があった。 4. 3月21日:フィールドワーク:熱田神宮に奉納された, 算額について, 熱田神宮宝物館館にて,熱田神宮文化部長権禰と学芸員と同神宮が所蔵する算額について資料の提供を受けるとともに打ち合わせを行った。 5: 研究打ち合わせ: (1)12月8日. 岩手県大にて, 田村先生と研究打ち合わせ。 (2)3月22日, 浜島書店にて,研究成果物について, 石田氏と打ち合わせ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
和算書, 算額書による教材開発は順調である。しかし,COVID-19による影響が少なくない。特に,和算研究家, 数学教育者へのインタビューが思うように進んでいない。 また,視覚化教材が若干遅れている。さらに,授業研究による実証研究がCOVID-19により遅れている。 開発教材の普及については,公開講座がZoomになったが,なんとか計画通り進んでいる。 結果として,全体的に進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に引き続き,2022年度も, 次の5つの観点で科学研究を進める。 1. 和算や算額に依拠した作図教材の開発では,全国の現存する算額や和算研究家,和算研究会が調査・収集した文献から,問題の輪郭を,①正三角形,②正方形,③円,④四分円,⑤一般の三角形に分類して開発する。 2. 和算研究家へインタビューを実施し,和算・算額の解釈や開発教材の校閲を依頼する。 3. 視覚化教材の作成では,和算や算額の他,教科書や入試問題,資料も題材とした教材開発を作成する。 4. 教材の実証については,授業研究,研究協議会により,開発した教材が中学高校の授業で耐えうる教材であるのか,また,教職課程の学生にとって相応しい教材と言えるのかを授業等で実証する。 5. 開発した教材の活用方法と普及する手立ての確立を検討する。現在のところ,2021年度に続き,公開講座, 各都道府県における講演活動,中学高校での出前授業を通して検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度購入予定であったMac Book pro16インチ(450千円)の購入を見送った。COVID-19の影響により予定していた学会がオンラインとなったこと,また,科研研究の遅れもあり,予定していた5本の国内学会の発表と対面での出席を見送った。さらに,予定していた国際学会での発表と対面での参加を見送ったため,旅費および英文の校正についてもの予算を執行できなかった。また,COVID-19の影響で,外部との接触をできるだけ避けるため,予定していた資料整理も見送った。 また,和算研究家の方々が高齢なため,インタビュー活動を極力控えたため,その旅費,謝金の執行ができなかった。以上の理由により,次年度の使用額が生じた。 2022年度の予算執行であるが,執行を見送った物品(PCの購入)を購入する。また,教材開発を行うとともに,学会発表を積極的に進める。同時に,本研究に関連して,和算研究家へのインタビュー活動,数学教育の研究者との研究打ち合わせを可能な限り進め,計画的な予算執行に努める。
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