研究課題/領域番号 |
21K02914
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
松原 裕之 福岡工業大学, 情報工学部, 講師 (10435117)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | デジタルファブリケーション / 社会実装教育 / 製品開発プロセス / 振り返り / 技術者倫理 / 4M要因 / 自然言語処理 / 感情極性辞書 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、デジタルファブリケーション機器を活用して、限定された大学等の学生実験設備の環境下でモノづくりにおける社会実装教育の開発プロセスを体験できる教材を開発することである。社会実装教育を深化させる手法の構築と体系化に取り組み、開発プロジェクトの振り返りプロセスから言語化された所見を元に、現状維持、問題点、課題、等の分類で管理要因の状況や欠落を可視化する。また、開発プロジェクトそのものの良否を振り返り所見(日報等)の記述から推定する。 2023年度は、代表者の本務校の予算(本補助事業外)を用いて、デジタルファブリケーション機器を活用した社会実装教育の開発プロセスを体験できる環境(什器類、パソコン、デジタルファブリケーション機器)を整備した。2023年度後期には、更新後の環境で社会実装教育の開発プロセスを体験できる半期16回の学生実験のPBLを実施した。 加えて、前年度から引き続き、開発プロジェクトの良否を推定するために振り返り所見(日報等)からプロジェクト活動の問題点やリスク要因を機械学習等で自動抽出することを目指した。2023年度中に、その良否を推定するための基礎となる極性判定辞書のパラメータ調整と性能評価が完了しなかったため、2024年度にも引き続き取り組む。リスク要因は具体的には安全工学の4M要因に着目している。熟練者による手作業による4M要因のタグ付け、Man(人的要因)、Machine(設備的要因)、Media(作業的要因)、Management(管理的要因)をゴールデンデータとし、バギングベースのアンサンブル学習アルゴリズムに適用を試みている。 本研究の2023年度の取り組みや得られた知見、デジタルファブリケーション機器を活用して試作したIoT機器、自然言語処理によるテキストの要約やアンケートの分類などの成果を査読付論文3件、学会発表2件、にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画より遅れているため、「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度にデジタルファブリケーション機器を活用した社会実装教育の開発プロセスを体験できる環境が整備できたので、2024年度は当初の研究計画に沿って、年2回の頻度で、社会実装教育のPBLの教材をブラッシュアップして改良していく。 加えて、プロジェクト活動の振り返り所見(日報、振り返りのKPT所見等)に対して、自然言語処理に適した感情極性辞書を構築すること、機械学習による分類を適用すること、の2点から社会実装教育のPBLにおいてそのプロジェクト活動の良否の推定を試みる。教育実践とプロジェクト活動の良否の推定について、研究会や学会論文誌等で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費は、国内開催の国際会議1件に加えて、調査活動として計上していたMaker Faire Tokyo 2023の参加の1件を含む、合計2件のみ補助事業から支出した。そのため、当初の計画より少ない支出となった。 物品費は、計画当初、補助事業期間中にデジタルファブリケーション機器一式をリプレースする予定であった。後述する理由により次年度以降に実施内容そのものを再検討したい。その理由は、計画していた本補助事業の整備の一部を代表者の本務校の「教育研究改善取組による設備更新」による予算(概ね550万円)を用いて、2023年8月から2024年2月にかけて社会実装教育のPBLを実施している当該教室の什器類(固定式の机、移動式の机と椅子)、デスクトップパソコン(12台)、デジタルファブリケーション機器(レーザー加工機の現行機種)などを一式更新したためである。 補助事業の次年度使用額は、計画書の趣旨に沿って再計画して、補助事業期間中に充てる予定である。
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