研究課題/領域番号 |
21K02920
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中井 央 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (70301083)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 構文エラー / 構文解析 / プログラミング初学者 |
研究実績の概要 |
本研究は、大学等で行われる初級のプログラミング教育において、それぞれの環境に合わせる形で教育の支援を行うことを目的としている。本研究では、プログラミング言語の処理系(コンパイラ・インタプリタ)を用いる際のエラーを対象としている。2021年度はプログラミング初学者が直面する問題点について、および、彼らが使用するプログラミング言語処理系におけるエラー処理に関する研究についての文献調査を行っている。 一方で調査したエラー処理方法をもとにしてより実践的に使える方法を考案した際、それを実際に適用する環境を準備する必要がある。このため、本研究で用いるシステム(Depager)上で実践的なプログラミング言語を用いるための準備として、Depager を用いた実用言語の構文解析器のプロトタイプを作成した。実装を行った対象言語は、C言語および Java言語である。過去に行った研究成果の1つでは、いくつかのエラー処理方式を Depager 上で容易に利用できるようにしている。プロトタイプで作成した構文解析器ではこの機能が動くことについての確認も行っている。また、Depager はいわゆる構文解析器生成系であるが、一般的なプログラミングの初等教育者は必ずしも生成系に与える文法記述についての知識・理解があるわけではない。この観点から、文法を容易に構築するための方法も必要である。多くのプログラミング言語では式を言語の要素として持つ。式のための文法を容易に構成するための方法の試作にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、初年度に初心者プログラマが遭遇する問題点についての研究やプログラミング言語のエラー処理に関する研究について調査を行うこととしていたが、文献を調べ、我々のシステムに組み入れるための検討に当初想定よりも時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、文献調査を行う。初心者が引き起こすエラーの種類を分類する研究の成果をDepager 上でどのように活用できるかについての検討を続ける。調査したいくつかの文献では Java や C言語といった古くからある言語を対象としているものも多い。このため、それらに絞り込んで、エラー処理の傾向、難解さの基準、メッセージの提示法を分類し、システムでプロトタイプとして実装する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、プロトタイプ作成のための準備として C 言語および Java 言語の構文解析器の実装の開発を業者に依頼して、経費を概ね使用したが、端数が出ている。これは2022年度に引き続き、システムの機能拡張、消耗品費として使用する予定である。
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