研究実績の概要 |
本研究では,従来はバラバラに用いられてきたコア知識一覧表とOPPAの知見を統合して,新学習指導要領に対応した中学校理科教科書の発展的課題用のワークシートと読み物を開発し,実際の中学校理科授業でその有効性を実証するのが目的である。 2022年度には,千葉県内の理科教員52名を対象にして,中学校1~3年の理科教科書のどの発展的課題の指導が困難なのかを調査した結果を分析し,調査結果から指導が困難だと特定された発展的課題から順次ワークシートと読み物を開発し, 2022年度には中学校2年「二酸化炭素中のマグネシウム燃焼」のワークシートと読み物を開発し,生徒のワークシートの記述内容を分析した結果を論文にまとめた(「発展的課題に対する読み物とワークシートのニーズと評価」『千葉大学教育学部研究紀要』71, 1-9)。また,中学校1・2年鹿児島湾の特徴・桜島の特徴のワークシートと読み物も開発し,実際の理科授業でその有効性を検証した結果についても論文にまとめて投稿中である。小学校についても,小学校5年「振り子の運動」おいて,特に理解することが難しいと指摘されている①「おもりを重くしても,ふりこが1往復する時間は変わらない理由」,②「振れ幅を大きくしても,ふりこが1往復する時間は変わらない理由」についての読み物とワークシートを開発して,読み物の読解から児童がどの程度理解して説明できるようになったのかを検討した結果を論文にまとめた(「科学的リテラシーを育む「千葉大学×墨田区」プロジェクト:小学校5年「振り子の動き」の支援例」『千葉大学教育学部研究紀要』71, 11-19)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中学校2年「二酸化炭素中のマグネシウム燃焼」の発展的課題に取り組むためのワークシートと読み物を開発・検証した知見をまとめて出版することができた。また,当初は中学校理科のみでの研究開発であったが,小学校からも連携・協力の支援が得られて, 小学校5年「振り子の運動」でもワークシートと読み物教材を開発・評価した結果を論文にまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も引き続き,別の単元でワークシートと読み物の開発・評価を進める。当初は中学校理科での研究開発であったが,小学校からも連携・協力の支援が得られ,2023年度以降も小学校理科でもワークシートと読み物教材を開発・評価をする予定である。 2024年度には,有効だったワークシートと読み物や授業展開例を書籍や論文にして報告する予定である。
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