研究課題/領域番号 |
21K02924
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
松永 泰弘 静岡大学, 教育学部, 教授 (80181741)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Unity in Diversity / United by Emotion / 動くおもちゃ / 探究 / ものづくり |
研究実績の概要 |
本研究で取り扱う開発教材は、子どもたちの科学の芽として最も重要とされる不思議や驚きを伴い、探究を深めるものづくり教材であり、産業界の技術革新の一端に触れ、技術者と同じような創意工夫・試行錯誤をともなう経験が可能である。本年度は、これまでの研究を発展させ、新学習指導要領、科学技術基本計画、STEM/STEAM教育、ESD教育の実施を促進するための探究型ものづくり教材の開発と実践による検証を行ってきた。 今年度の教材開発は、①位置エネルギーを利用した受動歩行教材(製作が困難な金属製と製作が容易な紙製)、②芸術性と鑑賞者を意識した制作を伴うオートマタ教材・マリオネット教材(創造性が要求される教材と部品を組み立てるだけで完成する教材)、③幼小対象の動作原理を追究する動くおもちゃ教材(のこぎりを使用する教材と組み立て式の教材)、④理数探究における数学的ものづくり活動教材(塩山、相貫体、積層体)、の4つの柱で開発を進めてきた。動くおもちゃにおける科学的探究内容を、運動の理論解析、実験、シミュレーション解析により明らかにした。また、探究を深めるための手立て、授業の流れ、ワークシートなどを開発してきた。 授業実践におけるものづくり・探究活動を通して、子どもたちの自主的・積極的・対話的活動と子どもの変容を心理学的分析の手法を用いながら多面的な分析により明らかにした。多様性が尊重された学習集団によるものづくりと探究の実践は、新型コロナの影響で停止の状況にある。そこで、多様性(障害の有無、発達・知識・技能の差、異年齢、多様な感情・価値観)の学習集団は、おもちゃものづくり・あそび・探究の結びつき、感動や驚き・不思議により一つになること(United by Emotion)で、豊かな活動とまなびが表出する(Unity in Diversity)という内容については過去のデータを分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新型コロナ禍で、国内国外のオンラインで開催された学会を中心に研究発表を行っており、10本の査読付き論文(6本の学術雑誌論文、3本の国際学会誌、1本の研究紀要)の掲載、14件の学会発表を行い、研究の成果を公開している。また、6本の論文が学術雑誌に投稿中であり、5月と12月の国際会議での発表を予定している。 今年度の教材開発は、①位置エネルギーを利用した受動歩行教材(製作が困難な金属製と製作が容易な紙製)、②芸術性と鑑賞者を意識した制作を伴うオートマタ教材・マリオネット教材(創造性が要求される教材と部品を組み立てるだけで完成する教材)、③幼小対象の動作原理を追究する動くおもちゃ教材(のこぎりを使用する教材と組み立て式の教材)、④理数探究における数学的ものづくり活動教材(塩山、相貫体、積層体)、の4つの柱で開発を進めている。 国内においては、中学校、高校、静岡大学講義において実施を行っている。子どもたちの変容を子ども、保護者、教師(保育者)のアンケートの3種類のアンケートから、質的分析および定量的分析により、明らかにしている。特に、子どもたちにとっての開発した探究教材の意味や価値が、保護者のアンケートから明らかにしている。子どもの学びの継続・深化を引き起こす要因についても評価・考察している。 ただし、予定していた多様性が尊重された学習集団によるものづくりと探究の実践は、新型コロナの影響で停止の状況にある。そこで、多様性(障害の有無、発達・知識・技能の差、異年齢、多様な感情・価値観)の学習集団は、おもちゃものづくり・あそび・探究の結びつき、感動や驚き・不思議により一つになること(United by Emotion)で、豊かな活動とまなびが表出する(Unity in Diversity)という内容については過去のデータを分析している。
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今後の研究の推進方策 |
教材のさらなる開発を進めながら、開発した教材を用いた実践では、国内においてはこども園、特別支援学校、附属幼稚園、附属小中学校、高校、静岡大学講義、国外においても、幼稚園、特別支援学校、また、これまで実践してきたモンゴルの小中一貫校での実施を計画している。子どもたちの変化を子どもたち、保護者、教師(保育者)のアンケートの3種類のアンケートから、質的分析および定量的分析により、明らかにする。特に、国内外の研究者と現場からの評価を検討し、今後の開発および実践に生かして行く。 新型コロナウィルスにより、学校での授業実践に制限があるため、対面以外の実践として、① 家庭での取り組みを展開し、材料、つくり方・あそび方・探究シート、アンケート用紙など配布する、② 全国の幼小中高大を対象に、webで発信し、アンケートをとる、さらに、③ 世界に向け多言語(英語、中国語、ポルトガル語、フランス語、モンゴル語)で発信し、アンケートをとる、以上3種類の実践を行い、こどもたちの活動を明らかにするだけでなく、webでのこどもたち同士の交流について可能性を探る。 今年度の研究で明らかになったこどもの発達の多様性(支援が必要なこどもも含めた多様性)の中から生まれる豊かな活動について、理論的な背景も含め明らかにしていく。 開発している教材の研究対象とする分野は、技術教育、幼児教育、特別支援教育、数学教育、理科教育、美術教育などの分野からなり、その主要な3つの学会(日本産業技術教育学会、日本保育学会、日本特殊教育学会)を中心に研究発表を行っており、今後、他の教育学会での発表にも力を入れる。
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