研究課題/領域番号 |
21K02934
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
小谷 卓也 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50411484)
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研究分担者 |
長瀬 美子 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50247889)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 乳児 / かがく遊びおもちゃ / 探索 / マイクロジェネティック法 |
研究実績の概要 |
2021年度の主な研究実践の具体的な内容は、以下の通りである。 (1)日本保育学会第74回大会(オンライン開催)では、0・1・2歳の男児及び女児の計3名を抽出児として「ひもの伸び縮み遊び」を実施し、彼らの探索行動をマイクロジェネティック・アプローチを用いて分析した結果を発表した。本会において、①「ひもの伸び縮み遊び」の探索に用いられる体の部位は、身体の発達とともに変化する部位と変化しない部位があり、②「ひもの伸び縮み遊び」の探索過程における動作は、身体の発達とともに変化する動作と、変化しない動作があるという仮説を報告した。 (2)国際幼児学会(IAECE) The 42th Annual Convention(オンライン開催)では、乳児期(0-2歳)に「かがく遊び」を継続的に体験した3歳の幼児と未体験の幼児に対して「液体を用いた斜面滑らせ遊び」を実施し、2人の幼児の探索行動の仕方の違いを比較分析した結果を発表した。本会において、乳児期(0-2歳)に「かがく遊び」を継続的に体験した3歳児は、統計的に、未知の物質や現象に出会ったとしても躊躇することなく探索を行うという仮説を報告した。 (3)日本乳幼児教育学会第31回大会(オンライン開催)では、乳児を対象とした「空気遊びおもちゃ」を実際の子どもに実施し、それを開発する上での重要な視点を抽出した結果を発表した。本会において、「空気遊びおもちゃ」開発のための視点として、①「空気遊びおもちゃ」は、空気を閉じ込めたり泡にするなど間接的に見えるようにするか、あるいは触覚など視覚以外の五感で空気を感じとらせるような仕組みが必要であること、②送風機から出る風の力によって確実に動く教材を選定する必要があることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の本研究の目的及び計画は、(1)玩具等を用いた乳児(0~2歳)の探索行動の特性に関わる国内外の先行研究の分析を行い、その成果から物質や現象と関わる「かがく遊び 」における探索行動特性についての仮説を構成主義理論に立脚して構築す る、(2) 0・1・2歳の各学年から抽出された乳児を対象に、約4ヶ月ごとに「ものの浮き沈み遊び」と「ひもの伸び縮み遊び」の2つの「かがく遊び」を実施し、マイクロジェネティック法により乳児が①対象となる物質や現象に対し、どの様な手段(例:眺める、なめる、たたく、引っ張る、投げる、振る)で探索を行っているのか、②探索プロセスは時間的にどの様に変化をするのか、③探索過程での保育者との関わり方などについて明らかにすることであった。 (1)については、前年度より引き続き乳児の探索行動に関する国内外の先行研究を収集・分析している(その研究成果の一部は、「乳幼児の探索に関する研究動向と乳幼児期の科学教育の視点から見た探索研究の方向性」(大阪大谷大学STEAM Lab紀要第1号(創刊号)、pp.53-60、2021)としてまとめた)。また(2)については、「ひもの伸び縮み遊び」・「液体を用いた斜面滑らせ遊び」・「空気遊び」の3つの「かがく遊び」を0-3歳児を対象に探索行動調査を実施し、その特性についての仮説を導き出してその成果を学会で発表した。一方、「探索プロセスの時間的変化」及び「探索過程での保育者との関わり方」については、不十分である。しかし、2022年度も引き続き様々な「かがく遊び」において調査を継続していくことで概ね完了の目処は立っている。 以上の理由から、2021年度の研究は、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究結果を踏まえ、2022年度は以下の様な研究計画を立案し、遂行していく。なお、これらの研究成果については、国内外の学会等で発表していく予定である。2021年度に引き続き、(1)昨年度に0・1・2歳の各学年から抽出された同じ乳児を対象に、昨年度と同じ「かがく遊び」を実施し、マイクロジェネティック法により①対象となる物質や現象に対する乳児の探索の手段が時間的にどの様に変化していくのか、②探索プロセスは時間的にどの様な変化をするのか、③探索過程における保育者との関わり方がどう変化したのかについて明らかにする、(2)物質や現象に関わる探索活動を重視した先進的な実践を行っている国内外の保育所・認定こども園において、ヒアリング調査を実施し、研究協力園以外の園における乳児の探索行動の特性を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度に購入した探索行動調査に必要な機材購入が、予定した額より安価に購入できたため。 (使用計画)本年度の使用残額については、次年度の探索行動調査に関わる実験教材購入費として支出する予定である。
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