研究課題/領域番号 |
21K02944
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 佐代子 筑波大学, 芸術系, 教授 (10326415)
|
研究分担者 |
小林 麻己人 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50254941)
三輪 佳宏 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 室長 (70263845)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ビジュアルコミュニケーションデザイン / ルーブリック / ビジュアルデザイン / 情報デザイン / サイエンスビジュアリゼーション / 科学コミュニケーション / グラフィカルアブストラクト / ビジュアルプレゼンテーション |
研究実績の概要 |
研究成果の発表において、研究者のビジュアルコミュニケーションデザイン能力が問われている。本研究におけるビジュアルコミュニケーションデザインとは、視覚的な情報(グラフ、図表、写真、テキスト等)を、わかりやすく魅力的に伝達するためにデザインすることである。しかし研究者が中高等教育でビジュアルコミュニケーションデザイン教育を受ける機会はほとんどない(田中、2014)。そのため研究者は、魅力的で伝わるスライドやポスターをデザインしたいと望んでいるにもかかわらず、実現できないことが多い。 そこで研究代表者らはそれらを育成するための指針を構築し、ガイドブックやeラーニング教材を開発してきた。しかし開発した教材は基礎的な知識・技能の修得が中心だった。研究者自身のビジュアルコミュニケーションデザインにおける課題を根本的に解決するためには、得られた知識・技能を応用できる学習法を取り入れる必要があることがわかってきた。応用できる能力によってこそ、研究者自身が、伝わる、魅力ある、研究成果の発表資料を作成することが可能になる。 これらをふまえ本研究では、教育者と学習者双方の達成目標としてのルーブリックを開発する。ルーブリックとは、学習到達度を示す評価基準を、観点と尺度からなる表として示したツールである。主に学習者のパフォーマンスの質を評価するためのツールとして使用されているため、ビジュアルコミュニケーションに関する知識や技術の応用力を測るために非常に適している。 R3年度、研究代表者は学習効果を上げるルーブリックについて文献を用いて調査し、ルーブリック案を作成した。またルーブリック案に関するアンケート調査実施のための準備を行った。研究分担者は現役の生命科学者としての立場から、ルーブリック案やアンケート調査方法について助言した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【1】文献調査:どのようなルーブリックが学習効果を上げるのか文献(大学教員のためのルーブリック評価入門、スティーブンス他、2021等)を用いて調査した。 【2】ルーブリック案の作成:ルーブリック案は1)レイアウト、2)書体・文字組、3)配色、4)グラフ・表、5)描画・図解といったビジュアルデザインの5要素別に合計35項目を設定し、各項目ごとに3段階のレベルで評価する。レベル1だと1点、レベル2だと2点、レベル3だと3点とし、それらの合計点を用いて達成度(とても優秀、優秀、発展途上)を判定する。 【3】ルーブリック案の検証準備:ルーブリック案の有効性を検証するため、ルーブリック案を用いた評価とアンケート調査を実施予定である。そのため、アンケート調査の実施計画、研究協力者への依頼文、WEBアンケートフォームを作成した。また筑波大学芸術系研究倫理委員会に「研究倫理審査申請書実施計画」を提出した。
|
今後の研究の推進方策 |
R4年度はルーブリック案を用いた評価とアンケート調査を実施する。研究代表者がアンケート評価と調査実施し、研究分担者は現役の生命科学者としての視点からそれらについて助言する。 【1】筑波大学大学院共通専門基盤科目の演習授業「研究のビジュアルデザイン」の成績評価公表後、履修者から研究協力者を募る(約10名)。 【2】研究協力者は学内外の研究発表のために、これまでに自身で作成したスライド(10頁程度)またはポスター1点を、「研究のビジュアルデザイン」で習得した学習内容を活かして改善する。 【3】研究協力者はアンケートフォームから、スライドまたはポスターの改善前・改善後のデータをWEBサイトのアンケートフォーム提出する(個人情報・機密情報を含めない)。またWEBサイトのアンケートフォームからルーブリック案を用いた達成度評価と設問に回答する。 【4】研究代表者は研究協力者によるスライドまたはポスターの改善内容と、アンケート調査結果を照合・分析し、その結果を用いてルーブリック案を改善する。 R5年度は研究成果は学会で発表し、学術論文誌に投稿するために準備する。また最終的に完成したルーブリックはWEBサイトなどで公開する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦のため、購入予定だった消耗品の納品が年度内に間に合わず、次年度に繰越した。
|