研究課題/領域番号 |
21K02952
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
星野 由雅 長崎大学, 教育学部, 教授 (50219177)
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研究分担者 |
福山 隆雄 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20403800)
大庭 伸也 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20638481)
山田 真子 長崎大学, 教育学部, 助教 (20814354)
林 幹大 長崎大学, 教育学部, 助教 (40771225)
工藤 哲洋 長崎大学, 教育学部, 教授 (60413952)
隅田 祥光 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80413920)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 理科授業デザイン / 科学探究的アプローチ / 未知の課題 / 自然発生的議論創出 / 問題解決的学習 / ダニエル電池 / 露点 / 実験条件 |
研究実績の概要 |
これまでの問題解決的,探究的アプローチによる理科学習は,科学者の科学的探究の論理的・認識論的再構成であり,本来の科学的探究とは言えないことが指摘されている。真に探究する力を養うには,理科学習を科学的探究の単純な論理的・認識論的再構成とするのではなく,本来の高度で複雑な科学的探究に近いものにすることが必要との考えのもと,これまで「児童・生徒にとって未知の課題」を組み込んだ理科授業をいくつかデザインしてきた。授業には「課題発見・解決」の場面及び言語能力の育成に資する「根拠を明確にして議論する」場面が自然発生的に生じるよう設計してきた。これまでデザインしてきた理科授業の実践の結果,一定程度自然発生的に「議論する場」が構築できることが明らかになった。そこで,本研究では,さらに様々な単元で,これまでの方略に基づく理科授業がデザインできるかを検討した。 中学校第3学年「化学変化とイオン」の単元のダニエル電池の実験において,ダニエル電池の装置を組み立てる材料として,底に穴の開いた小さな素焼きの植木鉢を用い、生徒が,穴をふさぐ必要性について自然発生的に班内で議論を始めること、また穴をふさぐ必要性の理由を考えさせることにより,生徒がダニエル電池の駆動する仕組みを深く理解することが期待される授業をデザインした。 さらに、中学校第2学年地学分野の単元「気象とその変化」の「気象要素」での露点の実験において、実験室内の水蒸気量を予め調整するため、室内の2箇所で湯を沸かし、空調により室温を上昇させるなどし、室内の場所によって気温と湿度が異なる条件とし、複雑な科学的探究となる授業実践を行った。その結果、授業の中で気温と湿度との関係について、生徒が自発的に議論を始めたことから、地学分野においても単元によっては、事前の条件設定により、生徒の自然発生的な議論の創出を伴う授業デザインが可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染防止の観点から、児童生徒同士の話し合い活動が制限されていた時期があり、授業実践が行えなかったことと、授業デザインが間に合わず、授業実践できていない単元があることが、研究がやや遅れている原因である。
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今後の研究の推進方策 |
学校における授業は、コロナ禍前の状態に戻りつつあることから、今後は計画的に授業実践が行えると考えている。それに備えて、授業デザインを精力的に進めていく。また、開設したホームページ上で成果発表に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本理科教育学会の全国大会の発表がオンライン形式となり、旅費分が余剰金として生じた。翌年度分と合わせて、必要物品の購入、授業記録、成果発表(学会発表とHPでの公表)に伴う経費を計画的に執行する。
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