集団への帰属意識が強い人は他のメンバーに対して好意的な態度をとりやすいと考えられると同時に、集団の活動を正当化する傾向も強いと考えられる。これを一国の社会にあてはめると、ナショナルアイデンティティが強い人は、社会の中の不遇な人々への支援を必要と感じると同時に、社会が公正である以上不遇である責任はその人たち自身にあると考えやすいと推測される。アンケート調査の結果、ナショナルアイデンティティの一種である愛国心は、国家機関が公正であり、人々は自分の現状に責任を持つべきだと感じさせることが確認された。これは、ナショナルアイデンティティには社会的弱者への支援を抑制する効果があることを示唆している。
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