• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

社会的格差の維持に寄与する心理メカニズムの検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K02966
研究機関東京都立大学

研究代表者

沼崎 誠  東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10228273)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードシステム正当化 / 社会系心理学 / 社会格差 / 不平等 / ステレオタイプ
研究実績の概要

格差維持過程にどのような心理メカニズムが寄与しているのかを明らかにするために,(A)システム脅威がジェンダーに基づく相補的ステレオタイプや偏見に及ぼす効果の検討,(B)格差拡大が現状を維持するイデオロギーの支持に及ぼす効果の検討,(C)保有資源の格差の原因と変動性が協力行動に与える影響について検討を行った.
(A)に関しては,男女大学生を参加者とした実験を行った.主観的社会階層を測定した上で,日本に対する脅威の顕現化を操作し,伝統的性役割に一致する女性か伝統的性役割不一致な女性かを呈示して,好意や性格特性について回答させた.結果として,1) 男性参加者でも女性参加者でも,非伝統的女性は伝統的女性に比べ,作動性は高いが共同性は低いという相補的ステレオタイプ的評定が見られる,2)男性参加者において脅威が顕現化すると伝統的女性は非伝統的女性に比べて他者から好意を持たれると推測する,3)男性参加者において今日が顕現化した状況で非伝統的女性に接すると,平等主義的性役割観が低くなる,ことが見いだされた.
(B)に関しては,プレレジストレーションをした上で,クラウドソーシングで参加者を募集し,世帯収入で社会階層を測定し,格差拡大記事への接触の有無を操作し,操作の前後で保守主義的イデオロギーへの態度(右翼主義的権威主義/社会支配傾向)に回答させた.結果として,格差拡大プライムが保守主義的イデオロギーに影響を与えるという結果は得られなかった.また,社会階層による調整効果も一部でのみ見られ,一貫した結果は得られなかった.
(C)に関しては,実施上の問題などから小規模な予備実験にとどまっているが,実施をするのに必要なプログラムを完成することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

保有資源の格差の原因と変動性が協力行動に与える影響について,2023年度に行う予定でいた実験が,実施上の問題から実施できていない.

今後の研究の推進方策

(A)相補的ステレオタイプを用いたシステム正当化傾向の検討では,2023年度に実施した大学生を参加者として実施した実験に基づきプレレジストレーションをして,幅広い社会階層を含む一般サンプルを対象とした実験を行う.さらに,相補的ステレオタイプを持たれている対象を拡大して追試を行う.
(C)保有資源の格差と原因が協力行動に与える影響については,公共財ゲームにおいて小数者のみが運によって多くの収入を得る公共財ゲームにおいて,収入の格差が固定していると教示する条件と,収入の格差が流動する可能性があると教示する条件を設け,比較する実験を行う.さらに,少数者が努力によって多くの収入を得る公共財ゲームにおいて,同様の実験を行う.

次年度使用額が生じた理由

保有資源の格差の原因と変動性が協力行動に与える影響について,2023年度に行う予定でいた実験が,実施上の問題から実施できていないため,次年度使用が生じた.2024年度に実験を実施する際に使用する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] The effects of priming of a threatening out-group on complementary stereotypes based on social status in Japan.2024

    • 著者名/発表者名
      Li, Yifei and Numazaki, Makoto
    • 学会等名
      The 25th annual Society of Personality and Social Psychology annual conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 格差拡大が保守主義への支持に及ぼす効果 -一般サンプルを用いた実験的検討-2023

    • 著者名/発表者名
      沼崎誠・Li Yifei
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会
  • [学会発表] システム脅威が地位に基づく相補的ステレオタイプの表明に及ぼす効果 性・社会階層の調整効果:一般サンプルでの検討-2023

    • 著者名/発表者名
      沼崎誠 ・Li Yifei・朴建映・松崎圭佑
    • 学会等名
      日本社会心理学会第64回大会
  • [学会発表] ゲームの有利さの違いが妬みと協力行動に及ぼす影響―対PCの囚人のジレンマゲームを用いた検討―2023

    • 著者名/発表者名
      中井彩香・沼崎誠
    • 学会等名
      日本社会心理学会第64回大会
  • [学会発表] 日本にとって脅威と知覚される国・地域に関するテキスト分析 ―脅威のタイプと性別に関する探索的検討―2023

    • 著者名/発表者名
      Li Yifei・沼崎誠
    • 学会等名
      日本社会心理学会第64回大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi