研究実績の概要 |
1年目に当たる2021年度は、①中国文化研究者およびロシア・東欧研究者との研究報告会、②東アジア地域(中国・韓国・台湾)およびロシアに関する知識の調査、を予定していたが、予想外にコロナ禍が長引いたため、2022年度に持ち越すこととした。その準備として、2021年度には、外交や外国への意識に関する過去の調査および研究のサーベイを行った。 新型コロナ禍をきっかけに、中国に対するイメージは世界で低下しているが(CEIAS,March 28,2021; Pew Research Center,Oct6,2020)、日本では「親しみを感じる」という回答がもともと低かったせいか、低下の幅は2~5ポイント程度と、悪化しているものの大きな変化はない(言論NPO 2021「第17回日中共同世論調査」;内閣府 2021「外交に関する世論調査)。ただし、中国人の対日感情が急激に悪化しているという指摘もある(言論NPO,2021)。ロシアに対する世界の印象も、従来よりあまり好意的ではなかったが(Pew Research Center, Dec 16,2020)、2022年度は、ロシアによるウクライナ侵攻で、ロシアに対する世界の印象が悪化していると考えられる(例としてPew Research Center, March30,2022)。 一方で、今回のウクライナ侵攻により、ロシアおよび東欧の地政学的な知識を世界中の人が得たというのも事実であろう。このことは、新型コロナ禍が、発生地とされる中国への印象を悪化させつつ、中国についての知識を得るきっかけにはなっていないことと対照的である。2022年度には、こうした観点から、改めて「知識」に関する調査を設計する予定である。
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