研究実績の概要 |
2022年度まではコロナ禍でもあり、海外渡航の機会も限られ、海外に関する調査をするにはイレギュラーな時期であった。また、同時期に調査を実施したほうが、国ごとの知識の比較を行いやすい。そこで2022年度は、本研究課題の予備調査として、7月にウェブ調査を実施した(N=1051、日経リサーチに委託)。調査時点で,ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから約5カ月が経過していたこともあり,ウクライナと東アジアに関する知識設問を調査票の中に含めた。 その結果、「ウクライナにおけるロシア系住民の人口比率」を選択肢で正しく選択できた回答者は21.7%、「(中国,台湾,香港,韓国,北朝鮮のうち)日本と正式な国交のある”国”」をすべて正しく選択できた回答者は32.2%であった。中国の国家主席の名前は自由回答で求めたところ、正しく入力できているのは70.5%であった。 また、これらの海外・政治知識は、テレビニュースのほか、ネットの政治ニュースとの接触と正の相関がみられた。メディア接触と基本属性を独立変数とした(二項・順序)ロジスティック回帰分析の結果,「ウクライナにおけるロシア系住民の人口比率」についてはテレビニュース接触が、また「国交のある国の正解数」については新聞とネットニュースへの接触が正の効果を示していた。 これらの結果は,これまで世界中の多くの研究で報告されてきたとおり、人々の政治知識が相対的に少ないことを示すと同時に、知識の内容によって有効な情報源が異なることを示している。 また、2022年度には、これらの調査結果を踏まえて、調査票の作成を進めた。 本研究課題の研究費を用いた本調査は2023年7-8月を予定している。
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