研究課題/領域番号 |
21K02969
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
山崎 瑞紀 東京都市大学, メディア情報学部, 准教授 (10277866)
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研究分担者 |
宮本 百合 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60794641)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 文化変容 / 異文化移行 / 認知スタイル / 注意配分の文化差 / 文化的自己観 / 文化心理学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、異文化移行による個人レベルでの文化変容(acculturation)の過程を文化心理学や社会的認知における知見や手法を用いて明らかにすることである。本研究ではその出発点として、日本での長期滞在が、背景情報への注視や他者の行動の原因帰属(状況要因の重視)といった東アジア人に特徴的とされる認知スタイルや文化的自己観における変容をもたらすかについて検討した。 具体的には、まず、北米在住の北米人大学生66名、日本在住の日本人大学生68名を対象に、注意の向け方の認知スタイルに関する課題(表情判断課題、原因帰属課題など)や文化的自己観、顕在的自尊心を測る心理尺度を実施し、先行研究と同様に有意な文化差が見られるかを確認した。その後、文化差が明確に見られた課題及び尺度(表情判断課題、原因帰属課題、Who am I? テスト、文化的自己観尺度など)の調査を、日本在住の欧米英語圏(米国、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド)出身者128名を対象に実施した。欧米出身者は、6年未満の短~中期滞在者(N=52)と6年以上(N=75)の長期滞在者の2群に分け、年齢を統制した上で、北米在住の北米人大学生、日本在住の日本人大学生を含めた4群間で平均比較を行った。 その結果、欧米出身者は北米人大学生と同様に、滞在期間にかかわらず、日本人大学生よりも強い対応性バイアスを示しており、状況要因が軽視される傾向が見られた他、独立的自己観が優勢だった。一方で、欧米出身者は滞在期間にかかわらず、北米人大学生、日本人大学生よりも社会的文脈に敏感であった。認知スタイルの文化変容について、これらの結果を基に、①initial enculturation 仮説、②self-selection 仮説、③acculturation仮説、の観点から考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長期滞在(滞在6年以上)の欧米(英語圏)出身者50名、b.短~中期滞在の欧米(英語圏)出身者50名の計100名を対象に調査を行う計画を立てていたが、計128名に実施することができ、分析もほぼ終了している。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果を今年8月に国際学会で発表する。学術雑誌に投稿する他、研究成果に関するWebサイトを作成し、広く情報を発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍であり、出張が難しいという事情があった。今年8月に開催される国際学会(The 27th International Congress of the International Association for Cross-Cultural Psychology)での研究発表のための海外出張費や学会参加費として使用する予定である。
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