研究課題/領域番号 |
21K02973
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
谷口 淳一 帝塚山大学, 心理学部, 教授 (60388650)
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研究分担者 |
相馬 敏彦 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (60412467)
西村 太志 広島国際大学, 健康科学部, 教授 (30368823)
金政 祐司 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70388594)
宮川 裕基 追手門学院大学, 心理学部, 講師 (40845921)
鬼頭 美江 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (70725324)
山田 順子 立正大学, 心理学部, 助教 (20837124)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 関係の深化 / 親密な関係 / 真正な自己表現 / 非真正な自己表現 / ポジティブな自己呈示 |
研究実績の概要 |
親密な関係の当事者が示す認知や動機には「ポジティブであること」と「真正であること」という二つの継続基盤が並存することが示されてきた。一方、自己呈示研究では、関係が深化する中でこれらの継続基盤が質的に転換し、真正さの機能的重要性が高まる可能性が示唆されている。その背景には、自他の情報の蓄積によって真正でない行動が統制されるメカニズムがあると考えられる。そこで、本研究では大規模なオンライン・パネル調査を実施し、上述した関係の転換プロセスにアプローチする。 2022年度に「真正であること」および「非真正であること」をどの程度呈示しているのかを測定する尺度の邦訳(AIES)と、それを用いて、関係の継続とともに自他情報の蓄積、共有が進むことで「真正である」情報の呈示をより行うようになるのかを調べるためのパネル調査を夫婦を対象として実施した。その結果について、代表者と分担者それぞれで学会発表を行った。 2023年度は夫婦関係を対象とした調査を実施し、ペアデータを取得し、「真正であること」および「非真正であること」をどの程度呈示しているかが夫婦双方の関係満足度に与える影響を検討した。結果については分担者を中心として2024年度に学会発表を行う予定であり、論文投稿も行った。 さらに2022年度に実施した調査について分析を行い、「ポジティブであること」と「真正であること」を職場の同僚にともに呈示することが、職場の初期適応に繋がることを明らかにした。つまり、関係が浅い段階では「ポジティブであること」と「真正であること」を呈示することが関係形成に重要であることが示唆された。 以上の成果をふまえ、大規模オンライン・パネル調査の実施を2024年度に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
邦訳した「真正であること」の呈示を測定する尺度を用いて、関係が浅い段階での適切な自己呈示を検討した研究、および夫婦関係で「真正であること」が関係満足感にどのような影響を及ぼすかについて検討する研究など、複数の予備的研究を実施したため、オンライン・パネル調査をスタートすることができなかった。ただし、「真正であること」と関係性との関連について確認することができたため、オンライン・パネル調査の準備は整ったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2024度については、オンライン・パネル調査を実施する。メインとなる調査項目の整理は順調に進んでいるが、それ以外の項目について精査して、調査委託会社にも相談しながら早い時期に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンライン・パネル調査の実施が遅れたことにより、次年度に調査実施のための調査委託料が必要である。また当初の予定通り国内外の学会(海外の学会についてはオンライン参加・発表)での発表や投稿論文に関わる研究費が必要となる。
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