研究課題/領域番号 |
21K02988
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
有馬 淑子 京都先端科学大学, 人文学部, 教授 (40175998)
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研究分担者 |
細野 文雄 群馬大学, 情報学部, 助手 (10261827)
神原 歩 京都先端科学大学, 人文学部, 准教授 (30726104)
小野寺 孝義 広島国際大学, 健康科学部, 教授 (40204268)
柿本 敏克 群馬大学, 情報学部, 教授 (70269257)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 集合知 / 共有知識 / 集団間関係 / 仮想世界ゲーム / RMEテスト / 信頼ゲーム / ネットワーク分析 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、社会全体の共有知識量が高まるほど集団間の協力行動が高く見いだされることを仮説として、Online社会における知識共有過程を検討するものである。
R3年度は、下記の実験及びプログラム開発を行なった。 1) 仮想世界ゲームの予備実験を行い、人員配置と実験手続きの検討、実験機材・データ分析方法を検討した。2) 仮想世界ゲームのパーソナリティ変数として測定をするRMEテストプログラムの開発を行なった。RMEテストは、他者の考えを予測する能力を測定するものである。Inquisit実験ソフトウェアを用いて、日本・米国版のテストを組み合わせたテストを開発し、それを次に述べる信頼ゲームと組み合わせて検証を行なった。3) 仮想世界ゲームを構成する要因の一つである投資ー分配関係を検討するための信頼ゲーム研究を開始した。RMEテストと組み合わせて、オンライン上で実施できるプログラムをInquisitを用いて開発した。クラウドソーシングから実験参加者250名を集めて実験を実施した。4) 仮想世界ゲームにおけるオンラインコミュニケーションデータをネットワーク分析に適用させることを目的として、その下処理を行うエクセルマクロプログラムを開発した。5) 集合知(各メンバーの投票)を分析する機械学習プログラムをPythonを用いて行なった。機械学習の手法としては、ランダムフォレストを用いた。投票を繰り返すことにより、集団の知性が向上するタスク、向上しないタスクがあることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R3は仮想世界ゲームの手続きや分析手法を確定させるための予備実験、分析プログラムの開発を行なった。 仮想世界ゲームに影響する要因が多様で相互作用することが予測されるため、核となるゲーム要因を確定するために、信頼ゲーム研究を導入した。 仮想世界ゲームでは、企業や政府などに投資することによって社会全体の利益が上がるが、企業から十分な分配が行われない、あるいは、環境問題などのネガティブな現象により費用が嵩むという構造になっている。R3の実験結果より、RMEテスト得点が信頼ゲームの投資行動に影響を及ぼすこと、信頼ゲームにおける信頼回数が仮想世界ゲームにおける原因帰属認知に影響することが確かめられた。
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今後の研究の推進方策 |
R3は主に研究代表者が実験を実施し、プログラム開発を行なってきたが、R4に実施する仮想世界ゲームの本番では、共同研究者の仮説検証に必要となる変数を測定する予定である。そのためのミーティングを実施、6月に仮想世界ゲーム見学会、8月に調査票の設計を行う。本番の仮想世界ゲームの実施は、R4年度11月から12月の期間を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定になかったオンライン実験を追加したため、Online質問紙サービスQualtricsサブスクリプション費用、実験参加者募集を行うCrwodWorksへの手数料がかかった。
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