研究課題/領域番号 |
21K02994
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
園田 菜摘 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (00332544)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 対人的自己効力感 / 幼児 / 母親への認知 / 保育者への認知 |
研究実績の概要 |
2021年度は、仲間に対する自己評価である「対人的自己効力感」の幼児期の特徴を明らかにするための分析を行った。 まず、幼児用対人的自己効力感尺度(園田, 2016)を用いてこれまで測定を行った年少児100名、年中児124名、年長児223名のデータを基に尺度の因子分析を行い、「問題解決主導型の効力感」(5項目)と「受容信頼型の効力感」(5項目)の2つの下位尺度を作成した。さらに、対人的自己効力感において学年と性別の2要因分散分析を行ったところ、「問題解決主導型の効力感」において交互作用が示され、男児において年少児は年長児よりも「問題解決主導型」の効力感が高いことが示された。 次に、幼児の母親、保育者への認知と対人的自己効力感との関連を、これまで測定を行った年少児53名、年中児69名、年長児33名を対象に分析した。その結果、幼児が母親を受容的と認知しているほど「受容信頼型の効力感」が高く、母親を拒否的と認知しているほど「問題解決主導型の効力感」「受容信頼型の効力感」がそれぞれ低いことが示された。また、幼児が保育者を受容的と認知しているほど「問題解決主導型の効力感」「受容信頼型の効力感」がそれぞれ高く、保育者を拒否的と認知しているほど「問題解決主導型の効力感」「受容信頼型の効力感」がそれぞれ低いことが示された。 以上の結果から、対人的自己効力感は問題解決主導型と受容信頼型の2つの下位尺度に分かれること、母親、保育者への認知はそれぞれの対人的自己効力感の下位尺度の高さに影響する可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響により新規に多くの幼児のデータを取ることが難しかったため、これまで測定してきたデータを分析し、分析尺度の検討と再分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の分析により、幼児の対人的自己効力感の特徴をより具体的に測定できる下位尺度が明らかになったため、今後はこの下位尺度を用いてデータの収集・分析を行うことで、幼児期から児童期にかけての自己評価の特徴を明らかにするという本研究の目的を遂行していく。また、一部縦断的なデータの収集が難しい場合は、横断的なデータを収集することで補完していく。
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