研究実績の概要 |
2023年度は、幼稚園年長児から小学1年生にかけての縦断的な検討において、子どもの自己評価の発達とそれに関連する要因について明らかにした。 52名の子どもを対象に幼稚園年長児時点から小学1年生時点までの縦断的検討を行い、子どもには対人的自己効力感、自己像を測定する面接調査を、母親には自尊感情、育児不安、養育態度を測定する質問紙調査を行った。その結果、子どもが年長児時点での母親の育児不安の「育て方への不安感」が高いほど(r=-.34, p<.05)、「育児への肯定感」が低いほど(r=-.31, p<.05)、それぞれ小学1年生時点での子どもの対人的自己効力感が高いことが示された。また、子どもが小学1年生時点での母親の育児不安の「子どもの育ちへの不安感」が高いほど、同じく小学1年生時点での子どもの自己像の「勉強ができる」(r=-.23, p<.05)、「正直である」(r=-.27, p<.05)がそれぞれ低いことが示された。さらに、子どもが小学1年生時点での母親の養育態度の「衝動的叱責」が高いほど、同じく小学1年生時点での子どもの自己像の「スポーツができる」が低いことが示された(r=-.31, p<.05)。 以上のことから、子どもが幼児期の時点での母親の育児不安は児童期の子どもの対人的自己効力感に影響すること、子どもが児童期の時点での母親の育児不安、養育態度は同じく児童期の時点での子どもの自己像に関連する可能性があることが示唆された。
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